2013年12月10日
イキ・イキ・エイジング 【第一回 若返りたい!長生きしたい?】 後藤 眞
多くの方が、長寿願望・若返り願望を話されます。若返りの特効薬の処方お願いします。
長生きのコツは、先生の本「老化は治せる」(集英社新書)を読めば良いのでしょうか?、なるべく楽なやつを教えてくださいと、中には真剣に、多くは、なかば冗談っぽく質問されます。
日本人の平均寿命が世界一の80歳を越え、百寿者は、5万人を越えています。今や、癌もエイズも死病ではなくなって、街は元気な高齢者で溢れています。臓器移植や美容整形が日常的に実施され、iPS細胞治療や遺伝子治療のニュースも聞かれる時代です。倫理や治療費を考えなければ、自分自身の若々しいコピーを造ることも可能だろうという気になっても当然かもしれません。
そうした質問や希望に、私は、「長生きして、どうしたいのですか?」「やりたいことがあるのですか?」。大概の返事は、「ヨボヨボはダメです。いつまでも三十代で」「120歳とは欲ばりません」「長生きして孫や曾孫の顔が見たい。」「なるべく死にたくない。」「楽に、せめて今程度でお願いします。」「ピンピン・コロリで」と、ささやかなものです。
周囲に同調する日本文化が望む長生きとは、つまるところ、現状維持のようです。人生は楽しいことの連続するディズニーランドではないことは誰もが知っていますが、青春を取り戻し、再度人生をやりなおす勇気あるタフな日本人には、お会いしたことがありません。
アメリカ人は、人生は孤独な闘争だと考え、気力体力を必要とする闘争のためにも、青壮年期への若返りを真剣に必要とするようです。アンチ・エイジング文化が隆盛を極めるはずです。
誰も調査したことはありませんが、世界的に、人生の時計の針は、青春時代から始まっているようで、若返りの時期として思春期以前の幼児期を希望される方は希です。しつけや勉強を強いられるのは、もうこりごりなのでしょうか?実のところ、発達医学的に言えば、老化を含め人生の大まかなことは、思春期までに決まってしまうのですが。つまるところ、長寿願望は、文字どうりの長生き祈願ではなく、今以上の老醜を嫌悪し、いつまでも若々しくという、虫のいいプチ現状肯定に他なりません。
多くの日本人が、ほぼ幸福な現状に満足していて、あわよくば宝くじにでも当たることを密かに期待しているのだなと感じております。
このシリーズでは、人生を豊に生き抜くための、実践的な老化対応策と心構えについて、先人の知恵などを吟味しながら、書き連ねていきたいと考えています。