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2014年1月9日

イキ・イキ・エイジング 【第八回 問題は炎症老化】 後藤 眞

 記憶では、幼児期の冬は寒く、よく雪が降ったように思います。幼稚園の晩冬、巨大な雪ダルマを無心に作っていました。炭で目を入れるころ、カラスの鳴き声にふと気づくと、周りには誰もいなくなっていました。曇天を見上げると、無性に悲しくなり、「ヒトは、なぜ老いて死ぬのだろう」と、夜は恐怖でなかなか寝付けませんでした。
 冷気のせいで、数日前、棺に横たわっていた祖母の葬儀を思い出したのです。半世紀も前のことですが、この頃から「老化」の考察を始めました。
 私は臨床医として、慢性炎症のリウマチと遺伝性早老症であるウエルナー症候群の専門家として、老化と炎症の研究をしてきました。
 私とは独立に、イタリアの免疫学者らが「炎症老化」という概念を提案しました。医科学の進歩により、炎症で活性酸素が作られ、活性酸素が原因で、また炎症が起こることも分かってきました。
 細胞や組織の中では、ある確率で必ず異常なタンパク質やがん細胞が作られますが、悪者を監視するパトロール隊が、体を常に守っているのです。
 しかし、あらゆる薬に効能と副作用があるように、体の仕組みにも有利な面と有害な面があります。有利な防御作業で、がん細胞や異常タンパク質は取り除かれますが、その過程で「微細な炎症」であるボヤが発生します。この微細な炎症を防ぐ手だては無く、われわれの老化を推進するエネルギーとなると私は考えています。
 微細な炎症を基礎に「弱い炎症」「慢性炎症」「急性炎症」の4種類の炎症が「炎症老化」を構成し、老化が進行します。
 弱い炎症の代表が、歯周病であり、老化に関連して発病する動脈硬化、糖尿病、肥満などのメタボの原因も炎症であることも解明され、関節炎をはじめ、がん、アルツハイマー病、骨粗しょう症からシミ、シワまで炎症が大きく関与していることが分かってきました。また慢性の炎症性疾患で、老化が促進し、寿命が短縮することも認識されるようになりました。
 私の「老化は治せる」(集英社新書)に記載しましたように、「弱い炎症」「慢性炎症」「急性炎症」を治す薬は、既に治療に使われています。
 しかし「微細な炎症」は、われわれの生存に必要な面があり、まるまる予防することは得策ではないと思われます。何事もほどほどに、というのが、老化防止・若返りの秘策かもしれません。


  • 後藤 眞                東京女子医大東医療センター                        整形外科・リウマチ科客員教授                         練馬光が丘病院                             リウマチ内科常勤顧問
  • 老化は治せる 後藤 眞                       集英社新書
  • 新しいリウマチ治療 後藤 眞                        講談社BLUEBACKS
  • 後藤 眞                東京女子医大東医療センター                        整形外科・リウマチ科客員教授                         練馬光が丘病院                             リウマチ内科常勤顧問
  • 老化は治せる 後藤 眞                       集英社新書
  • 新しいリウマチ治療 後藤 眞                        講談社BLUEBACKS

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