2014年1月13日
イキ・イキ・エイジング 【第十回 寒くなってきましたが、身体は冷やしましょう】 後藤 眞
もうすぐ冬至です。クリスマスだと言ったほうがよいかもしれません。柚子湯やカボチャ、冬瓜は、いずれも冬至の定番ですが、抗炎症効果、抗老化効果(抗癌作用、抗糖尿病作用)が、知られています。拙著「老化は治せる」(集英社新書)で記載しましたように、抗炎症力が、老化予防ですので、よい薬の無かった昔の人は、日常生活から炎症老化を理解して、経験的に使っていたのかもしれません。
免疫力を高め、老化予防には、よく身体を温めろ、冷やすな、と昔からまことしやかに言われています。特に、寒い時期には、当たり前だろうと、何を言っているんだとおしかりを受けそうですが、実は違うんです。真冬に、一時的に暖かくするのは、理に適っています。風邪を引くくらいにクーラーをかけてガンガン冷やせなどとは言いませんが、一冬という短期間のお話しではなく、一生という長期レースには体温は低い方が元気になります。アメリカの長期にわたる大規模な研究で、明らかになったことは、元気な長寿者に共通する特徴は、比較的(0.2~0.3℃程度)低体温だったようです。と言っても、なにごとも、ほどほどで、且つ、状況次第ですが、低体温では、身体の中の代謝活動で発生するエネルギーは、少なくなりますので、炎症や活性酸素による身体のダメージが少なくなりますので、頷けます。
ヒトは、政治家や会社のスローガンのように、いやになるくらい単純さを愛好します。大部分のヒトは、それほど複雑な蜘蛛の巣のような世界に生きているのでは無いと思いますが、ワンワードで済むほど単純な世界でもないと思います。生きていく、それも大自然、人間社会、病気、文化、様々な環境の中で、目には見えない、意識していない闘争を闘っているとおもいます。「身体を冷やす」というのは、余分な炎症を避けた方がよい、というメッセージだと受け取ってください。あなたの人生というオーケストラを指揮する指揮者は、あなた自身に外なりません。いつまでも若々しく最高の交響曲を奏でるためには、あなた自身が、小さな炎症は、積極的に治療し、しっかりご自分の身体のケアに注意する必要があります。