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2014年4月15日

露寇(ろこう)事件始末(6-29) 荻野鐵人

3)ビタミン
 ビタミン類は水溶性および脂溶性の2種類に大別される。水溶性ビタミン類はB群(B1, B2, B6, Bl2)、C, 葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチンなどからなり、その多くは体内において補酵素型に変化して種々の物質代謝に触媒的に関与し、生理機能を発揮するが、機能と欠乏症との関係は必ずしも明らかではない。
 一方脂溶性ビタミン類はA, D, E, K,などからなり、一般に自然の食物中に脂質に結合して存在し、熱に対し比較的安定である。脂溶性ビタミンのいくつかは体内において活性型に転換され、標的臓器に対して特異な作用を発揮する。すなわち膜機能やタンパク質合成に及ぼすホルモン様の作用機序を示すことが明らかにされている。
1)ビタミンB1
イ)欠乏による脚気の臨床症状・初期の症状
 脚気のはじまりは次ぎのような症状がある。歩くと脚が早く疲れる、膝の関節が弛んだ感じがする(がくがくする)、運動をすると脚に痛みが起こる,下腿の知覚が鈍くなる、異常な感覚(ピリピリする、ムズムズする、シビレル、冷え冷えする)がある。腓腹筋(ふくらはぎ)が緊張したり痙攣したりする、腓腹筋を圧すと痛みがある、下腿の全面に軽い水腫(むくみ)が出る、心臓部に重感や圧迫感がある、運動すると動悸や息切れがする、みぞおちが膨満した感じがする、食欲が低下する、便秘に傾く、気分がすぐれない、顔色が蒼白いなど。
 他覚的には心臓の拡大、拡張期血圧の下降、脈拍の不安定、腱反射の減弱など軽度の所見がみられる。総括すると軽い神経・筋肉・心臓・胃腸の症状で、以後の病変を予兆しているが、一見「不定愁訴症候群]のようにみえる。
口)湿性または水腫性脚気の症状
 はじめは下腿の全面や足背に軽いむくみがあるが、しだいに強く指でおすと凹むほどになる。下肢だけではなく、項部、背部、上肢など全身にも広がる。しかし、心不全や腎臓病ほど高度なむくみにはならない(せいぜい中等度)。むくみが強い場合には胸膜腔、腹膜腔、心嚢腔などの漿膜腔にも水腫を起こす。(胸水、腹水、心嚢水)。むくみの増強につれて心臓の症状が強くなり、動悸、胸内苦悶、呼吸困難などを覚える。脈拍は早くなり、拡張期血圧は下がり(しばしば0となる)、心臓は左右に拡大、心音は高く、大腿動脈、上腕動脈、肘動脈などで動脈音を聴く。長期のビタミンB1欠乏により心筋には、間質性浮腫、心筋細胞の萎縮、変性が生じる。また循環血液量の増加は、静脈圧上昇、乳酸アシドーシスなどによる血管透過性の亢進と相まって浮腫を形成する。
脚気心における高拍出性状態は、ビタミンB1欠乏のため増加したピルビン酸や乳酸蓄積が末梢細動脈を拡張し、末梢血管抵抗が低下することにより惹起されると考えられている。ビタミンB1欠乏により細動脈の「生体のエネルギー通貨」とされるATP(Adenosine Triphosphate)が枯渇し、その結果内因性アデノシンの細胞外放出が起こり、末梢血管拡張が起こると報告されている。肺動脈圧の上昇を認め、初期には右心不全が主体となるが、その後右心・左心不全から急速に肺水腫、ショック状態に至る劇症型を衝心脚気と呼ぶ。


  • 共立荻野病院             院長 荻野鐵人
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