2014年5月15日
akira's view 入山映ブログ ねじれ
福田政権百日についてのメール・アンケートを数カ所から受け取ったが、驚くべき共通点がある。福田内閣は「選挙管理内閣」ですか、(一定期間続く)「安定内閣」ですか、という問いが必ず含まれていることだ。要するに任期満了前の衆議院解散の蓋然性が極めて高いと見て、それを取り仕切る内閣と見るか、衆議院の任期満了(平成21年9月)までは存続する内閣かを問うている。
周知のように前回所謂「郵政民有化」選挙で小泉政権は圧勝し、衆議院2/3議席を獲得した。その後の参議院惨敗で「ねじれ」ても、衆議院で2/3の再可決をすればそれで法案が成立する、というのが自民党政権にとっての唯一とは言わないまでも、強力な政策実現の担保になっている。現在の政党構造に基本的な変化がない限り、平成22年の参議院選挙までは「ねじれ」は継続する。のみならず通常は事態打開の道具である解散総選挙が、やってみても(自民党が)現在以上の議席が取れる見通しもないし、仮に取れても事態は何も変わらない。
となれば政権政党にとって、任期満了前に解散総選挙を行うメリットは何もない。「大連立」もとりあえずは潰えた現在、ただひたすら忍の一字の現状維持しか打つ手はない。民主党にとっては全く逆で、何とか解散に持ち込む、あるいは追い込んで、あわよくば両院で多数。それが無理でも自民党の2/3割れを実現するのが望ましい、ということになる。民主党は当初参議院における問責決議案の威力を過大評価し、あるいはしたふりをしていたようだが、さすがにそれが決定打になり得べくもないことはもう織り込み済みだろう。となれば不祥事、行政の失態、さらには閣僚の失言等々、あわせ技で一本に持ち込む、自民党はなんとか粘って一本は渡さないというのが攻防の基本になる。
ゲームの理論ではないが、自民・民主の両プレイヤーが合理的に行動する限り上記のような事になるのは自明だろう。(話を簡単にするために公明党の要素は捨象した。同党にとって政権政党であることにメリットがあるのなら基本的に同じことだからである。)それがなぜ上記のようなアンケートの設問になるのだろうか。また、世の識者と言われる人々が、こぞって来年の出来るだけ早い機会に解散して民意を問え、というのだろうか。
一度民主党にやらせてみたい、というのなら解らないではない。既存政党の再編に向けて加速度をつけたい、というのも理解できる。しかし、それならそれではっきり旗幟を鮮明にしなくてはことは始まらない。安倍辞任というドタバタで少しことの本質がぼけてしまったが、二院制を採る以上こうした事態は常に可能だった訳だ。危機管理ではないが、そうした局面の対策を予定しないままに両党が「ねじれ」に直面した。それを見守るにしても評論するにしても、極め手となる知恵がないまま、何か変化が起これば解決策が見えるのではないか、という安易な局面打開に期待しているように見えなくもないのだが。
それにしても、新しい発想こそが求められているこの事態に、余りの不人気に政権を辞さざるを得なかった人が助言めいた発言をしたり、一昔前の腹芸さながらの「仕切り」にコミットした指導者がやめる辞めないと空騒ぎをしたり、両党の「若手」に存在感がないのはどうしたことだろう。
2007年 12月 30日