2014年5月19日
akira's view 入山映ブログ ガソリン税
ガソリンの暫定税率を巡っては論点が二つある。一つは消費抑制の意図を持って三十余年前に導入された「暫定」税率をいつまで続けるんだ、という議論。もう一つはそれを道路特定財源に振り向けていることの是非である。
このうち前者については、官僚組織を中心とした現状維持の「位置」エネルギーのものすごさを感じさせる実例だが、この点には余り深く立ち入らない。サンデードライバーの一人としては、満タン一回ごとに千円以上安いガソリン代はとても魅力だが、安くなって消費が増え、温室ガスが増えるのも困るだろう。国家財政が大ピンチなこともあり、「暫定」が「恒久」になるのもやむを得ないか、という意見に加担するのにやぶさかではない。ただ問題はその使われ方である。
受益者負担の大原則とやらで、もっと道路を造るという。これは倒錯した議論であって、道路建設計画先にありきで「暫定」税収を使い切る、という議論に他ならないのは周知の通り。さすがに気恥ずかしくなったか、5%強を一般財源化するというコスメティック・ワークが垣間見えたりはするものの、小泉政権時代に一度はぶった切った道路整備計画がいつのまにやら元の65兆円に逆戻り。大赤字の国家財政にあっても土建国家健在ぶりを見せつけている。
発想があまりに貧困ではないか、と思う。第一に国土のインフラ整備は道路に限らない。情報通信基盤の整備も、そのソフト面での対策も、アジアの中で立ち後れている事態をどうするのか。観光庁を作るなどとピント外れの提案をしている国土交通省としては、観光のみならず全ての経済活動について、なぜアジアの後進国になりつつあるか、という原因についてもっと真面目に考えるべきではないか。タテ割りの弊害、というには余りに基本的な問題だと思う。
第二に受益者負担を言うのならば、むしろ原因者負担による環境負荷軽減になぜ思い当たらないのか。環境政策では世界の後進国と蔑視を受けている情けない有様を逆転する絶好の機会ではないか。排出権取引市場整備を含む環境対策にガソリン税を充てる、といえば世界は驚くだろうに。
2008年 01月 13日