2014年5月23日
akira's view 入山映ブログ 株安(その2)
株が安い。原油が高く、玉蜀黍や金も高い。実物経済、あるいは商品市場といわれるものが高い。ところがこれは実需に基づく価格高騰ではなく、サブプライムその他の理由で債券市場から逃げ出した投機資金が流入しているのだという。それでは世を騒がせている投機資金の絶対量がどれほどのものか、というと、これを正確に把握することは至難事のようだ。ただ、おおよそどれほどの規模のものかを推測するよすがになる数字は挙げることが出来る。
そもそも世界中の人々の所得というのは31兆ドル(GNI)あるいは35兆ドル(GDP)。そのうち貿易に関る部分はおおよそ8兆ドル(うちモノの取引は6.2兆ドル)。それに比べて外国為替取引は一日1.5乃至2兆ドル。これだけの数字から大胆に推測すれば、(年額31乃至5兆ドル、あるいは8兆ドルの一日あたり金額と為替取引額の倍率を単純比較する。読者のうちにこの途の専門家がいて、この乱暴な推定が見当外れだったらぜひご教示頂きたし)実体経済の裏付けのある外貨取引の数十倍から百倍近い外貨が取引されていることになる。
一方投機資金の代表的なものとしてよく引き合いに出されるヘッジファンドの総額は1.5兆ドル程度。デリバティブの市場規模は120兆ドル。というから、この推測もまんざら当たっていないでもないだろう。問題はその次だ。仮に投機資金がモノの売買の先物のほうが面白そうだ、ということになれば、どっとモノ市場に流れ込み、モノの値段が数十倍になることもありうることになる。それは杞憂だと誰かに教えて欲しいものだが、それかあらぬか、アジア通貨危機以来やや鳴りを潜めていた投機的資金の流入規制策が再び議論されるようになっている。グローバリゼーションの潮流の中、そんなことができるものなのか。規制大好きの財務省のお役人にはこんな時こそ知恵を絞ってほしいものだが。
2008年 01月 22日