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2014年5月24日

akira's view 入山映ブログ TICAD

 7月の洞爺湖サミットに先駆けて、5月にTICADIV(The Fourth Tokyo International Conference for African Development:第4回アフリカ開発国際東京会議)が開催される。1993年の第一回会合以来、日本外交としては珍しくイニシアティブをとって5年に一度開催している会議だ。

 ここにいうアフリカとは、いうまでもなくサブサハラ諸国、つまりサハラ砂漠以南のほぼ50カ国に及ぼうとする世界で最も貧しい国々を指す。20世紀半ばにこれらの国々が相次いで独立した。それ以来、かつてこれらの国々を、植民地としていわば原始的な搾取のあらん限りを尽くした旧宗主国であるヨーロッパ諸国を中心に、所謂「開発援助」(Official Development Aid:ODA)が注ぎ込まれ続けた。その総額の把握は困難であるが、DAC(開発援助委員会)の最近の統計では年間百億ドルを超える。

 日本のODAが戦後賠償から始まった。また移民国家アメリカは第二次大戦後多くの人々にとって祖国の感のある疲弊した欧州に復興援助を行った。歴史の流れからする援助、という意味では旧アフリカ宗主国がサブサハラにODAを投入したのも理解し易い。しかし、いわば「縁もゆかりもない」極貧国に対する援助というのは、改めてその哲学が問われる筈である。なぜ援助するのか。気の毒だからか。同じ人類としての義務だからか。どれほどの額を、どのように援助するのか。

 ODAが世界の貧困を根絶する、という幻想がある。先進工業国のODA総額は千億ドル強。この額で二十億人とも、三十億人とも言われる世界の貧困人口を救済できると考えるのはいかにもお手軽だろう。それだけで貧困国を救うのではなく、それが呼び水となって基盤が整備され、民間資本がさまざまな経済活動を活発に行うようになって始めて貧困国はその状態から脱することが出来る。そういう視点でODAが語られることが余りに少ないように思う。

 その意味では、これまでの世界のODAがことごとく惨憺たる失敗の歴史であった中で、唯一日本のアジアに対するインフラ中心のODAだけが大成功であったことを日本はもっと誇ってよい。その意味では、これまでのTICADの議論は、被援助国の主体性だの、内発的開発だのと、どこかで聞いたような話ばかりで新味がない。のみならず、日本らしさが全く見られない。アフリカに求められているのは強固なインフラだ。民間の手によるソフト面での社会資本整備とあいまって、土建国家日本のインフラ重視のODAこそTICADIVに意味を持たせる唯一の方法ではないか。

2008年 01月 26日



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