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2014年5月27日

イキ・イキ・エイジング 【第二十二回 ナッツとシリアルで】 後藤 眞

 ほとんどの方は「あれはダメ」「これはダメ」と禁止されるより「これだけすれば」と言われる方がお好きだと思います。
 そして、何といっても、われわれの第一の関心事は飲み食いでしょう。
 お金がそこそこあって、うまい酒を左手に、うまいモノを腹いっぱい食べてもスリムで、嫌なやつよりはるかに元気で長生きする。これが人生の醍醐味ではないでしょうか?
 世界で最も権威のある英医学雑誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの最新号に、アメリカの13万人の医師と看護師での調査結果が掲載されました。
 ナッツ類をよく食べるほど、がんや心臓病、呼吸器疾患で死亡する率が摂取回数に比例して低下し、健康長寿が得られるようです。
 残念ながら、最も効果的なナッツの摂取量については、はっきりしたデータは示されてはいません。これまでもナッツの有効性は、少人数の日本人研究や動物実験でも報告されていますので、かなり信頼出来そうなデータです。
 ナッツに含まれている植物性油脂の抗炎症作用が炎症老化を抑えるためではないかと思われます。
 ちなみに最も理想的なナッツはクルミですが、逆に糖尿病を起こしやすくするナッツもありますので注意が必要です。
 日本ではなじみがありませんが、インドや台湾で食べられているビンロウジュナッツは、発がん性と炎症を引き起こす作用によって、口腔がん、糖尿病、肥満を起こす危険性がありますので、好奇心に駆られて口にしないようにしてください。
 また、こちらもアメリカの研究ですが、食物繊維は、昔から血糖上昇を抑え、糖尿病、肥満、便秘予防効果がよく知られていますが、中でも穀物のシリアルが、最も糖尿病予防効果に優れ、毎日10㌘のシリアルを週5日以上食べますと、糖尿病の発病を30%抑えることができます。
 ありがたいことには、穀物の種類は、特に関係なく有効なようです。
 喜ばしいことに、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されました。和食のヘルシーさは無論選考理由の第一ですが、食器や盛りつけなど見た目の美しさ、季節感の演出も加点されているはずです。
 われわれは「パンのみで生きている」わけではないからです。和食にもクルミを使った料理がありますので、試されてはいかがでしょうか?


  • 後藤 眞                東京女子医大東医療センター                        整形外科・リウマチ科客員教授                         練馬光が丘病院                             リウマチ内科常勤顧問
  • 老化は治せる 後藤 眞                       集英社新書
  • 痛快!不老学 後藤 眞 集英社インターナショナル
  • 後藤 眞                東京女子医大東医療センター                        整形外科・リウマチ科客員教授                         練馬光が丘病院                             リウマチ内科常勤顧問
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