2014年6月2日
akira's view 入山映ブログ 天下り
「賄賂はそれによって得られる利益の額を超えることはない」と言ったのは山本夏彦氏だったか山本七平氏だったか。蓋し名言だが、これを天下りに置き換えれば、民間企業が天下りを受け入れて給料を払うからには、それを超える利益が見返りにあるのは常識だろう。もっともこれなどは可愛い方で、そもそもOBの受け入れだけを目的にして、何の必要もない「仕事」をするために創設された株式会社、公益法人がどれほど存在するか。
霞ヶ関の「埋蔵金」を巡って、2月13日国会質疑で明らかにされた道路特別会計天下り天国の一端はそれこそ九牛の一毛だろう。それにしても冬柴国交相の答弁には言語に絶するものがあった。納税者もここまでなめられたら唖然として言葉を喪うのではないか。公明党という政党はたしか清潔感と庶民感覚が売りだった筈だが、権力中枢に「取り込まれる」というのはどういうことか、如実に見た思いだ。官僚がああいう答弁を大臣にさせて、それで事態が糊塗できる、と思っているのならば、あえてその病理を指摘するまでもなく、日本官僚制の自壊も先は見えた、というべきかもしれない。
もっとも南鳥島のアホウドリではないが、隣の仲間が撲殺されても、全く自分には関係ない、とばかり、逃げることもなく、あたら全員が羽根布団になった例もある。あれは馬鹿な国交省の役人のこと。ウチみたいな優秀な役所はあんなドジは踏まないよ、と多寡をくくっているのかどうか。
今回の追求に端を発するであろう天下り規制が「若くして辞めるから」必要な天下り先の確保、とか、行政の円滑な執行に必要な外郭団体、とか、さまざまな言い訳がなんとはなくまかり通ってきたこれまでと、同じことの繰り返しに終わるのか。注目したい。特に注目すべきは随意契約と天下りの関係だ。随契があるから天下りに連なってけしからん、みたいな話がある。国会質疑もそのように受け取られるふしもあった。嗤うべきで、因果関係は全く逆だ。官公需受注会社に天下りを禁止すれば、独禁法がない時代ならいざ知らず、随契などなにほどのこともない。
高齢化時代を迎え、何も官僚の定年退職後の再就職に目くじらたてて意地悪をしようというのではない。「民の膏」を甘く見るのはいい加減にして欲しい、というだけの話だ。念のため。
2008年 02月 14日