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2014年6月4日

akira's view 入山映ブログ オーナーの現場視察

 オーナー社長の現場視察、というジョークが流行ったことがある。ワンマン社長が独り善がりにならないように、と現場巡視に出かけ、親しく「下々」の声をお聴きになろう、という訳だ。で、社長がかくあるべきだ、ある筈だ、と思っていた通りの意見を述べる(ゴマスリはどこにでもいる)部下には「そうであろう、良い意見を言う。」ところが自分の先入観と異なった意見の部下がいたりすると「あいつは現場が解っていない。真の問題の把握が出来ていない。」

 最近の日本官僚システムの言動を見聞するにつけ、彼(女)らが日本国のオーナー社長気取りなのではないか、と思わざるをえない。この規制が、この施策が日本のために良い結果を生む筈だ。望ましくない訳がない。現実は見ないし、見るつもりもない。グレーゾーン金利を禁止してノンバンクを中小企業融資から閉め出した金融庁・財務省(都市銀行がベンチャーや溌剌とした中小企業の「めきき」が出来なくなっているのが元凶だが、それとてももとを正せばお役所の責任が大きい。)、タクシーの台数・料金を巡って愚劣としか言いようのない動きを見せる国土交通省。ODAにおけるタテマエエとしてのNGO活用に全く本気の見えない外務省。あまたの失政に懲りず、豆腐屋さんや零細にがり製造者を泣かせて恥じない厚生労働省。ことの大小を問わず、まさに枚挙に暇がない。

 これが一方では(特定の利権を貪る人々を利するのならともかく)社長の自己満足のために誰のためにもならない規制を輩出すると同時に、他方で日本経済を失速させていながら、全くそれに気づいていない、とすればその罪は深い。役人が気づかない、あるいは気づかないふりをする、あるいは自己の無謬性を信じるが故に他人の言うことなど聞く必要もないと思う。それは起こりがちだし、起こっても不思議はない。問題なのはそれに対するチェック機能が働かないことだ。

 本来大学を中心としたパブリック・インテレクチュアル、あるいはメディアと野党はその機能のために存在している筈ではないか。それが全く機能しないのみならず、機能しようと言う気もない。さらには、そうしたチェック機能を集大成して政策提言に持ち込むことが期待される組織(米国におけるシンクタンクはその一例である)がこれまた全く存在しない日本にあっては、気骨ある造反官僚にそれを期待する他ないのかもしれない。ただ、それが木によって魚を求めることを期待しているのだとしたら、この国の将来はどうなるのでしょうね。たとえ気が遠くなるほど時間がかかっても、民間非営利組織を育てて、大成するのを待つしかない、ということなのかも。それまで日本がもつとよいのだが。

2008年 02月 17日



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