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2014年6月8日

akira's view 入山映ブログ 映画のシナリオ

 北朝鮮による国家的犯罪としての拉致に対して、話し合いと外交圧力によって解決を図る、という。相手に一片の良識があることを期待しての議論であろう。経済制裁を論じる人も、少なくとも経済的利害を判断できる程度の平衡感覚を相手に期待しているのだろう。正論だろうし、柔道で言えば「立ち技」の世界である。平和を国是とし、国策としての武力行使を封じ手にしている国としては、おそらくそれ以外の選択肢はありえないだろう。

 もしかして同じことが米国で起こっていたら、多分ハリウッドはもう救出に向かう特殊部隊の映画を何本も作っていただろうと思う(主演男優も想像できるくらいだ)。兄弟のうちたった一人の生き残りの兵士ライアンを連れ帰るために小隊を選抜して派遣するくらいだもの、これほどの数の同胞が不法に誘拐監禁されているのを黙視する筈がない。それはともかく、仮に日本でそのテの映画を作ったとしてみよう。

 おそらくその映画では、韓国語(朝鮮語でもハングルでも良い。要するに現地語)に堪能な特殊部隊員(もちろんこんなときに備えて日頃から猛烈な訓練に明け暮れている)が何名か選抜されて現地に投入されることになる。日本人が現地人に化けて怪しまれない数少ない国の一つだもの、何の不思議があろうか。彼(女)らは艱難辛苦の末に拉致被害者の所在を探り当て(もちろん現地には以前から潜入している工作者がいる。)スリルとサスペンスの末に救出に成功する。何人かは犠牲者が出るストーリーになるかもしれない。多分小火器を中心とした戦闘シーンもあるだろうな。特殊工作員が自衛隊員か警察官かはしらないけれど、武器使用規程に抵触しないと良いのだが。

 映画とは、SFもどきでないかぎり、やや虚実皮膜の間でなくてはならない。今の日本では、虚実どころか、およそオプションの中に入らない筋書きだからそんな映画が出来よう訳もない。将来の「沈黙の艦隊」まで待たねばならない理由はそこにある。これをしも健全さの証と見るのだろうか、それとも「平和ぼけ」のタテマエ症候群と呼ぶのだろうか。第一そんな特殊部隊を透明な予算審議の過程で維持できる筈もないし。北朝鮮に送るときに出張旅費と日当の請求 をするのだろうな。事後の清算払いになるのかな。

 こんな作戦が成功したとしよう。それを命じた、あるいは許した政権は支持率が上がるのか、それとも憲法遵守義務違反という論調になるのだろうか、それとも全ては隠密裡にナイショに済まされるのか。それも怖いかな。

 (本稿はこれまでになされてきた拉致被害者奪還に向けての努力を軽視するものでも、まして被害者関係者の苦悩を興味本位に取り扱ったものでもありません。むしろ、これくらいのことをしかねない国、という印象を相手に与えるべきではないか、という思いの方が強い、と読んでいただければ幸いです。)

2008年 02月 26日



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