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2014年6月10日

akira's view 入山映ブログ 予算主義(6)

 途上国援助にNGOを活用するというスキームは素晴らしい。道路や港湾等のインフラ整備、あるいは医療・公務員制度等のシステムづくりといった通常のODA案件に比べれば金額的にはたいそう少ないものの、需要が発生する原点で、そのニーズに応じた供給を柔軟に提供しようと言う発想が原点にある。もともとODAだけで貧困が撲滅できる訳もない(1.26「TICAD」参照)のだから、やや対症療法的であるとはいえ、この動きはすこぶる賢明なものだといってよい。そこに予算主義が持ち込まれると何が起こるだろうか。

仮に予算制度の根幹を単年度主義、款・項・目に拘泥する予算執行スタイル、さらに全ての支出に証憑を要求すること。その三点に絞って、それがどれほど実体に即応した供給を妨げるかを例示してみよう。

ます予算単年度主義というのは、日本の場合4月に始まって3月に終わるサイクルで、3月には全ての支出を手じまいして会計報告を作る必要がある。年度決算の事務手続きに必要な時間を確保するために、実際の現場のオペレーションが終わらざるを得ないのは3月半ばくらいのことも多く、次に再開されるのは4月の中旬というのも稀ではない。多くの日本人にはおなじみの制度だが、援助を必要としている村落にとっては、別に日本の予算サイクルにあわせて生活をしている訳でも何でもないから、日々の生活の中で、3月末から4月上旬まで、サービス供給が中断されてしまうという理不尽なことが起こる。さらに何よりも、目標達成までに何年もかかることが予め解っていても、その全体計画が確定できない。そのうえある年度の事業を一旦決めてしまうと、どんな新たな事態の展開があっても、実施年度相互間のやりくりが事実上不可能で、硬直的な運営と無駄遣いの原点になる。

これが実感としていかに不合理かが全くと言ってよいほど認識されていない例が、先にも挙げた出張のケースだ。海外(別に国内でも良いのだが)出張の際に、現地で耳寄りな情報があろうとも、芋づる式に手に入った格好の人脈があろうとも、出張前に予め決められた以外の行程は認められない、(現地で晩飯をどこで、いつ、いくらで、誰と食べるかも出発前に予めお伺いをたてる、という話を聞いたことがある。まさかね。)要するに、ことの目的、何のためにあるプロジェクトが行われるか、よりも些細な手続きの方が重要という不思議な感覚からは当然と言えば当然ではあるが。

念のために付言すると、手続きと目的は二律背反ではない。それどころか、民主主義というのは手続きの方をこそ重視する、という見方さえある。ここで指摘しているのはそんなことではなく、民主主義で重視される手続きとしての普通選挙において、投票所には右足から入れ、とか、投票用紙には持参した筆記用具を使ってはいけない、と言った規則をやたら作りたがったり、守らせたがったりする猿が多い、という馬鹿馬鹿しさについて、である。

2008年 03月 20日



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