2014年6月11日
akira's view 入山映ブログ アホな上司
畏友福田秀人立教大学大学院教授が、さる幹部養成機関の入学式で、例によってとても面白いプレゼンをした。このブログの主題である予算主義・官僚主義批判と共通する点も多く、読者と共有しないのはもったいないのでその一部を披露させていただく。(ご本人の許可は得てあります。念のため。)
福田さん(ちなみに現首相とは何の関係もない)は凡庸な幹部(あるいは経営者)の陥りがちな代表的愚行を10項目挙げて戒める。
1) 理想論を現実論にする。
2) 当事者の能力や努力を知らず、無能・無責任・怠惰と批判する。
3) 難しいこと、危険なことを簡単に考え、「やれ」という。
4) あらゆる問題の原因を「意識・体質・制度」の3つに求め、具体的な対策を示さず社員総懺悔や意識改革を連呼する。
この四つだけでも、読者の身の回りにナントカさんという具体名がすでに明らかではないだろうか。関西弁で言うと「アホな上司」に限ってこういう大言壮語をするのだが、やや具体的に言うと、
5) 現在の制度や方法論のデメリットのみをあげつらう。
6) 新たな制度や方法を、メリットのみをアピールして提唱する。
これさえできなくて5に留まるのもいるが、これは論外。
7) 新たな制度や方法のデメリット、副作用を考えない。
8) 新たな制度が諸問題を一気に解決すると考え、改革や革命を連呼する。
9) 出来ない理由を、想像力や意欲の不足等の抽象的理由に求める。
ここまで読み進むと、あなたが出会って「なんてひどい上司についたのだろう」と思っていたのが、何もあなた個人に降りかかった災難ではなく、世の中には同じ思いで胃が痛くなっている人がいかに多いか、理解されると思う。もっとも、他に交通事故に遇った人がいるからといって、あなたの交通事故の痛みが消える訳ではないが。
そして最後に福田さんは、単細胞の人間(こればかりは上司に限らない)にありがちな特徴を摘出して余りがない。つまり
10) 多くの課題にトレードオフがあることを考慮せず、総花的に課題を列挙する。
どうやら、福田さんの「ふんどし」を借りて今回のブログを「とった」ようだ。感謝。
2008年 03月 21日