2014年6月24日
akira's view 入山映ブログ 予算主義(8)
朝日新聞朝刊4月5日1面トップは「補助金施設の転用緩和」と題して、これまで予算制度上の理由から、転用が認められなかった結果予算の無駄遣いに陥った典型例いくつかを挙げて、今後はこの運用を「緩和」(!)すると報じた。挙げられているのは例によって冗談のような話のオンパレード。市町村合併で不要になった保健所を他の事務所に使おうとしたらダメ。ミカンの選果場をタマネギの選果場にするのがダメ。文科省のオカネで耐震補強をした空き教室を厚労省所管の児童クラブに使うのもまかりならん。それぞれが、担当者が大真面目でダメといっている顔が彷彿として面白い。「そんなことをしてタマネギを大事にしたら、今度ミカンで何か頼んでもいうこときかないからね」
これがこれまでこのブログで指摘した予算制度、予算主義に言う流用禁止、目的外使用による御法度だというのはもうお解り頂いているだろう。要するに最終需要者、つまり使う側が何をのぞんでいるか、計画時点に比べてどのように生きたニーズが変化したか、まして仕事の効率がどうだ、というのは二の次三の次。手続き、規則、こうしなさいというきまり、それが最大の関心事なのだ。こういう仕事の運びが、お役所仕事に留まらないケースも間々ある。
ある外郭団体もどきに、区分経理の大好きな元役人が天下ってきた。東日本向け事業と、西日本向け事業をオカネの出所が違うから区分経理をしよう、と号令がかかる。それはそれで結構だが、コピー取りや来客にお茶を出す事務補助のスタッフも、厳密に区分経理にしたがうべきだ、といって二人雇用。それまで一人でやっていた仕事が二人になったから、二人とも半日は新聞を読む以外仕事がない。滑稽なのは、これこそ「あるべき」業務遂行だと信じて疑わず、これまでの仕事のやり方(両方の仕事を一人でこなす)がいかにいい加減で望ましくなかったか、というのを業界の講演会で大演説したりする。
基本問題が明確になれば、応用問題(というべきか、剥くタマネギの数というべきか)にはことかかない。笑い話だとお読みになる読者、身につまされている向き。全ての国家予算に関連した省庁で大なり小なりこうした寸劇が毎日大真面目に繰り返されている、というのを信じられますか?
2008年 04月 06日