2014年6月25日
akira's view 入山映ブログ 日銀人事
民主党は、財務省が日銀ポストをOBの就職先として既得権化しているのは望ましくない、という理由で今回提案された副総裁人事を認めなかった。所謂「天下り」批判であり、象徴的なポストについて断固否定の態度を見せることによって「一罰百戒」効果を意図したものであろう。
であるのなら、「天下り」全てについてどのように実効的な対応措置がとれるかを示すべきだろう(4.2「外郭団体」参照)。そうでなければ、単に大向こうの受けを狙った(福田首相の言う)権力濫用の誹りを免れまい。
天下りとは、役人が退職してから、現職時代の職権と関係のある企業や団体の(多くの場合)要職に就くことをいう。その何が問題かといえばいうまでもなく、巨大な税金消費機構(’07.12.14「税金をどう使うか」参照)としての役所を巡る利権が、官民癒着によって私物化されることが最大のものだ。それに付随する問題点としては、天下り斡旋などのために役所の権限が恣意的に行使されること。退職金の重複支払い(いわゆる「渡り」)、実労働を伴わない給与支給のための名目的ポストの存在、等々が指摘されている。
これを根絶することが難しいとは思われない。それができていないというのは、禁止に対するさまざまな抜け道(例えばじかに民間企業に行くのはダメだが、関連の外郭団体で何年かほとぼりを冷ましてからならOK)を本気でやめさせようとは誰も思っていなかった、というだけのことだ。民間の公益活動については、税制上の優遇措置が悪用されないように、濫用されないようにとあれほど馬鹿げた縛りを考えつく官僚も、自分たちの事になると全く尻抜けも同然の規制でこと足れりとしているのは、魂胆見え見えというべきだろう。
有能な官僚が退職後の人生に、その能力を活用した職に就くのは大いに結構なことだ。ただし、それが民間企業を退職する人に比べて特に恵まれている必要もなければ、不遇である必要もない、というにとどまる。要するに国民の税金を費う、という立場での「お手盛り」は許されない、というだけの話だ。日銀副総裁という「象徴的」なポストに横車と言っても良いほどの蛮勇をふるった民主党が、本来の天下り問題にどのような対応をするか。それこそ鼎の軽重を問う、という意味でも見守りたい。
2008年 04月 09日