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2014年6月27日

akira's view 入山映ブログ 愚行

 愚行が単なる愚行に留まっている限り、世に及ぼす害もまた限られたものだと考えてよい。それだって迷惑を被る方にしてみれば冗談ではない。しかし、これが義務感とか、さらには正義感と手を結ぶとことは半端ではなくなる。

 朝鮮人(差別用語を使用するつもりはない。事例の時代背景からこの用語による。)やユダヤ人を理由もなく嫌いだ、というのは単なる偏見であり、愚行である。しかし関東大震災直後の帝都住民の安寧のために、あるいはアーリア人種の純血を保つために、これを殺戮・抹消せねばならぬという正義感と手を結んだとき何が起こったか、われわれは良く知っている。

 そんなことは歴史上まれに見る場合にしか起こらない、と考えるとことを誤る。権力が愚劣さ、あるいは凡庸さの上に成立した例は、民主主義といわれるものが定着してからでも数多い。それが無為無策、凡庸なままに打ち過ぎていれば、時間の経過にしたがって淘汰されてゆこうというものだ。同時代を生きる人にしてみれば、先にも述べたように冗談ではない、という話ではあるが。ところが、これが妙な使命感と結びつくと、ということは至高の価値とか歴史の方向性、さらには個人崇拝から官僚の保身といったものが渾然一体となると、ということだが、ことは最悪の事態を迎える。

 多くの場合、それは破局、あるいは体制崩壊によって始めて終わりを告げる。ワイマール後のドイツ、プロレタリアート独裁のソ連はまだ記憶に新しい。そうならざるを得ないのは、市場原理の枠外の存在にとって、行動を掣肘する要素がない、あるいは少ないからだ。バカなスローガンにふけって製品コストが高くなれば市場から放逐される。社長は偉い、とゴマスリがいくら取り入ってみても、製品の比較優位がなくなればそんな社長は続かない。ところがゴマスリや提灯持ちに取り巻かれた非・営利組織のボスは結構長続きする。とことんおかしくなるまで。

 幸いこのところの日本の政治は愚行の域に留まっているようだが、グローバリゼーションとか市場主義、あるいは逆に、格差是正や弱者救済に名を借りた行動は常にこの危険性を帯びている。定義の難しい「良識」の出番は思っているよりもずっと難しいのかもしれない。このところの会社法改正の動き、あるいは国家財政健全化(プライマリー・バランス回復)の名の下に行われるいくつかの制度改訂の動きを見ていると、官僚制が自己保存のために美名を借用しているのではないか、と思わせるものがある。愚行を単なる愚行に留めおくために、(民主党の)「無駄遣い告発」が大事なのだ。看板に掲げたがる「国民のため」「世界の趨勢」がいかに薄っぺらで、実は利己保身に他ならないかをこれほど見事に示すものはないからだ。

2008年 04月 14日



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