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2014年7月2日

akira's view 入山映ブログ 中東和平

 キャンプ・デービッドが中東和平にとって忘れられない地名になったのは、1978年第四次中東戦争の直後、当時のアメリカ大統領ジミー・カーターがイスラエルのベギン首相とエジプトのサダト大統領をここに招き、歴史的な和平合意をもたらした時からだ。カーター大統領は辞任後も精力的に紛争解決や平和醸成の活動を続け、2002年にはノーベル平和賞を受賞した。

 「凡庸な米国大統領、偉大なる元米国大統領」などと冷やかされるものの、彼の業績を評価する人は多い。もっとも1994年の朝鮮半島危機の時に、彼がお節介なことをしなかったら、今日の将軍様はなかったろう、という人もいなくはないのだが。

 その彼が、今回のイスラエル訪問に際して、オルマート首相もバラク国防相も、はては野党党首のナタニエフも面会を拒否。国家元首経験者には当然のシークレット・サービスの身辺警護もつかなかったというのだから穏やかではない。その理由は、カーターが今次中東訪問に際してダマスカスにいるハマスの指導者メシャルに逢うからだという。

 イスラエルの存在それ自体を否定し、戦闘停止に応じない、その上これまでの国際合意を無視するような(テロリスト)組織の指導者に逢うなどというのは、反イスラエル行為だ、という訳だ。もちろんカーターの側にも言い分はある。とにかく話し合いが出来なければどうしようもないだろう。ガザを実効支配しているのはハマスではないか。

 日本で世論調査でもすれば、圧倒的にカーター支持が多いだろう。それは間違ってはいない。しかし、四回にわたる戦争に一度でも負けていたら地上から抹殺されていた国の指導者が、頑として自説に固執するのもまた真実だ。とかくきれいごとで、皆で仲良く手を取り合って、というユネスコ村風な論調大好きな日本では顰蹙されるようなのだが。

 大事なのはカーターのような人物の存在だ。なんと言われようとも仲介者としてベストを尽くす。国際紛争の平和的な解決には必ずこうした人物が登場する。残念ながらアジアの紛争であっても、日本人がそうした場面で活躍した話は聞かない。人がいない訳ではない。民間人の活躍を支える資金的基盤や、支援組織が弱体なのが主な原因だ。まれに資源的に恵まれているところでは、ミニ役所のような手続きや書類に振り回されて、肝心の何が求められているかがお留守になる。顔の見える援助だ、尊敬される日本だとお題目を唱える前に、固めるべき足下がある。

2008年 04月 19日



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