2014年7月7日
イキ・イキ・エイジング 【第二十六回 健康によい飲み物とは?】 後藤 眞
「飲んでいたらいつの間にか体が健康になった」「丈夫になった」という愛飲者の印象を紹介しつつ巧みに宣伝をする飲み物が沢山あります。本当であれば結構ですね。昔から、日本では、緑茶の効能について、特に、緑茶の主成分であるカフェインについては、眠気覚ましという現実的な効能が知られていますが、抗ガン作用について精力的に研究がされてきました。最近では、メタボにも効果があるのではないかと期待されています。
カフェインが試験管で培養されている、いろいろな種類の癌細胞に効果があることは、多くの研究で確かめられています。飲み物の中で、重量あたりのカフェインの含有量は、玉露が、コーヒーの倍程度で断トツに多いのですが、通常の緑茶には、コーヒーの1/2~1/3程度しか含まれていません。
最近のアメリカの研究では、実際に日常的に摂取されている緑茶の量では、癌を抑えるどころか、逆に癌の発症を進めているかもしれないという疫学調査の結果が発表されました。ところが、同じ疫学調査では、コーヒー会社からの資金援助があったのかどうか不明ですが、コーヒーは、しっかりと癌の発生を抑えるという結果になっています。一日数杯程度のコーヒーを週5日以上飲むと、飲まない人に較べ、ほとんどの癌の発症が少ないようなのです。試験管の中の癌細胞をやっつけることのできるカフェインの量は、コーヒー20杯分に相当するようですので、かなり頑張って飲まなければ効かないのですが、同じカフェイン飲料であるにもかかわらず、なぜ、コーヒーが効いて、緑茶ではダメなのか?カフェインの量が不足しているためなのか、はっきりしません。しかし、いかにコーヒーをよく飲むからといっても、毎日、20杯もコーヒーを飲むアメリカ人は少ないと思いますし、コーヒー20杯に相当する緑茶は、50杯に相当します。いくらなんでもこんな日本人は、いないだろうと思いますし、第一、夜寝られなくなったり、ドキドキの不整脈に悩まされるのではないかと危惧します。
カフェインの健康への効能には、ほどよい量というのがあるかもしれませんし、日本人でも同じ事が言えるのかしっかりした疫学調査が望まれます。ちなみに、カフェインを全く含まない飲み物としては、ハーブティーや杜仲茶などがありますが、こちらは脂肪分解作用や抗癌作用などが謳われています。