2014年7月14日
イキ・イキ・エイジング 【第二十七回 睡眠は7時間前後がベスト】 後藤 眞
人生のほぼ3分1は死んだも同然の睡眠状態だと考え違いをされている方も少なくないと思います。それは大間違いです。
「寝る子は育つ」と言われるように、実は起きている時間ではなく、睡眠こそが成長には最も重要な時間なのです。深い眠りに入りますと、0・5~1℃程度体温が低下します。つまり、ほぼすべての内臓が最低限度の代謝活動(基礎代謝といいます)を行う状態で、熱エネルギーの生産も低下し、低炎症状態になりますので体は冷たくなります。
このときでも脳神経は、コンピュータが知らないうちに画面の裏で複雑なデータを整理し、バックアップを取る作業をするのと同様、黙々と頭の整理作業に専念します。
難問を抱えて困っているときや心配事で睡眠不足が続いた後に何かの拍子でぐっすり寝ることができた翌朝には、あーら不思議。うそのようにうまい解決策が見つかり、「やった!」という経験がおありだと思います。これこそ、よい睡眠の御利益です。育つのは寝る子ばかりではありません。
睡眠時間が短いと代謝活動が低下する時間も短くなりますので、炎症状態を低下させ、体温を下げることができません。これでは炎症老化を予防することができません。
通勤電車の中で気持ちよさそうに大イビキをかいていらっしゃる方を見かけます。時々静かになったなと思うと、呼吸も停止しています。睡眠時無呼吸症候群です。突然死の原因にもなります。死なないまでも、無呼吸状態を繰り返しますと、体全体で炎症が起き、炎症老化が促進します。
第一、寝覚めがすっきりしませんし、高血圧、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、肥満、関節炎、逆流性食道炎、誤嚥性肺炎など、多くの病気を引き起こします。寿命を短縮させる悪い睡眠の典型です。
また、ナポレオンのような短時間睡眠、看護師や国際線乗務員のようなシフト勤務者は、炎症状態が続き、病気がちで、寿命が短いと言われています。しかし、逆に長すぎる睡眠も寿命を短縮させるようで、7時間前後の睡眠が健康長寿にはベストだとされています。
また、毎日決まった時間に就寝し、起床することが、体脂肪の減少に有効だとアメリカの若い女性を対象にした最近の研究もあります。つまり、規則正しい生活とほどよい睡眠が大切だという古くからの常識がイキ・イキ・エイジングには有効だということです。