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2014年7月25日

akira's view 入山映ブログ ODA評価

 アフリカに対する開発援助については、TICADIVを主催する(1.26「TICAD」,2.12「TICAD2」)、中国の積極策に対抗して新たなイニシアティブを展開する、「日本頑張ってます」と浮かれた口調の目立つ昨今だが、日本のアフリカ政策は世界からどのように評価されているかについて、頭から冷水をぶっかけられたような報告書が刊行されているのを知っておくのも意味があるだろう。

 Center for Global Development(CGD)というのは、アメリカの開発関係シンクタンク。毎年先進21カ国の開発援助を七つの指標に基づいて評価している。その結果はCDI(Commitment to Development Index・開発貢献指数とでも訳しますか)として公表されている。今年、特にアフリカについての各国開発協力の成果を別に評価。これを公表した。七つの指標とは、開発援助、貿易。投資。移民受け入れ。環境、安全保障、技術移転 で、総合評価において、日本は21カ国中最下位にランクされた。

 ちなみに各項目について21カ国中のランキングを紹介すると、援助に関しては16位。貿易21位。投資16位。移民21位。環境17位。安全保障21位。技術移転のみが辛うして3位、という惨憺たる評価である。歴史的にアフリカと関係の深かった欧米諸国との対比だという点を割り引いて考えても、世界の目は厳しい、と考えるべきだろう。(アフリカのみならず、開発援助全般についても日本の評価は21カ国中最下位である。順位は援助21位、貿易19位。投資16位。移民20位。観光17位。安全保障21位。技術移転3位である。為念。)

世界中のODAが惨憺たる結果に終わっているというのに、日本のアジア向けのODA
だけは、人も知るとおり「アジアの奇跡」を生んだ。(1.26「TICAD」)それに対する評価としてはいくらなんでも、という気がしないではない。だからCGDの評価は欧米流の失敗の軌跡の延長線上にあるものだ、と黙殺するのも良い。しかし、日本の開発に対する取り組みについての世界の目は相当に厳しいものがある、と読むことも可能だ。「顔の見える援助」などと人目や外見に意を用いることの虚しさを認識するのも良い。いづれにしても、世界の目から視た日本(4.1「福田総理記者会見」)、という意味では、CGD報告書は一つの材料を提供する。それ以上のものでも以下のものでもない、と冷ややかに対応するのもよいが、こうした議論や尺度について日本が代案を示して積極的に打って出るほうが生産的だろう。それをお役所がやったのでは単なる自己正当化としか受け取られない。「民」の組織が行うからこそ意味があることは忘れてはならない。(CGDについて興味のある方はwww.cgdev.org)

  CGDは最近ミャンマー国民のサイクロン被害による食糧難に対して、日本がアメリカ始めタイ、ベトナムなどから豚や鶏の飼料用に輸入している150万トンに及ぶコメの備蓄を、緊急に放出すべきであり、それに対してアメリカは第三国向けの輸出を許すべきだ、という提言を行い(5月9日)、それに呼応して日米両国がアクションをとったのは周知のとおりだ。国際NGO(INGO)にはあのグリーンピースや、国境なき医師団(MSF)など多くの活動団体が存在する。どこかの国のお役所べったりの外郭団体とは違い、数多くの専門スタッフを擁して国際的活動を展開し、世論に対する影響力も大きい。中にはいかがかと思われる発言や行動に走っている団体もあるが、お役所の発表、官僚の政策を鵜呑みにするのではなく、こうした世論動向もあることはもっと知られてよい。

2008年 05月 20日



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