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2014年7月28日

akira's view 入山映ブログ 議論の根拠

 数字や統計はよく人を誤まらせる。特に一定の意図を持ったり、議論を誘導しようとするときにはよほど気をつけていないと妙なレトリックに引っかかる。先に問題になった道路建設に際しての需要想定みたいな話では、あまりに底が割れすぎているからだれも引っかからないが、それでもこんな数字で予算や国策が議論されているとすれば、それはお寒い話だ。もっともっと、民主党の皆さんには頑張ってもらわなくてはならない。

 その一方で、本来はもっと資料や材料が欲しいのに、なにやら一面的な説明しかない事態も決して少なくない。その一例が介護の問題だ。介護に当たる(特に若い)人材が、低賃金に耐えられず、かつ未来への展望の持てなさから、続々と仕事を離れている、というNHKの番組があった。その一方では、介護人材の絶対数不足を東南アジアを中心に外国人労働力で補充しようと言う動きもある。低賃金でも喜んで働くから外国人に依存しよう、というのなら、はっきりそう言った方が良い。かつ、需要の絶対数をそれによってまかなうためには、何万人の介護ヘルパーを入国させる必要があるのかも明らかにすべきだ。ここまではいわばイロハの議論だ。

 次に、自動車だって大衆車から高級車まである。介護の最低限(シビル・ミニマム)は公的なセーフティ・ネットで支えるにして、余裕がある人が自費を加えて介護を受けようとする場合、どのようなサービスが可能で、かつ単価はどれ位で、それに制限があるのかないのか、またそのサービスの質はいかに保証されているのか、いないのかがさっぱり明らかではない。そのような需要が全体のうちでどれ位あると推定されるのかについても情報不足だ。介護人材が、そういうチャンネルで働く可能性を見据えても、なおかつ未来がないからと逃げ出しているのかどうかも定かではない。

 さっぱり評判の悪い後期高齢者医療制度にしてもそうだ。終末期医療。つまり死ぬ前何ヶ月から一年くらいに必要な医療費(保険給付)が、総体の給付の中でどれ位の割合を占めるのか。八割という人もいれば、一割程度だという意見もある。それによっては、別制度設計に合理性が出るかもしれないではないか。年金から有無を言わせず天引きするという方法論の拙劣さ(ちなみに介護保険もこれをやっているが、憲法上、あるいは法律上本当に問題ないのだろうか?)についての議論はいわば末梢的な部分であって、それが庶民感情を逆撫でするの、姥棄て山だのという議論はことの本質を見誤っている。ここでも資料や数字が絶対に不足している。

  オカミがこの種の数字を発表する場合は、政策意図・目的がみえみえなことが多い。つまり中立性に問題がある。だから、本当は「民」の立場でこれを提供する機関が欲しいのだが、こちらの方も妙に受け狙いやら、イデオロギーっぽい学者先生みたいなのが出回っていたりして信頼度に問題なしとしない。本来市民社会というのはこうした地道な活動やら手法に裏付けられていなくてはならないのだが。今回の公益法人制度改悪で、唯一の希望が税制上の奨励措置、特に寄付免税の拡大だ。これを大いに活用する民間非営利組織が輩出することを期待したい。

2008年 05月 26日



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