2014年8月6日
akira's view 入山映ブログ 無神経
後期高齢者とはよくも言ってくれるものだと思ったら、今度は紅葉マーク(後は散るばかり?)だそうだ。官僚諸氏の無神経な言語感覚には恐るべきものがある。もっとも、これは何も昨日今日始まったことではなくて、地名・地番の変更とやらで由緒ある地名が次々なくなって、やたら東銀座やら西銀座、北軽井沢やら南軽井沢があちこちに誕生した時もこれに類する。だが、そのときわれわれはごく一部を除いて抗議運動さえ起こさなかったし、挙げ句の果てが平成の市町村大合併で、素っ頓狂なネーミングさえ生まれている。所詮われわれはおのれの言語感覚、そしておのれのレベル相応の役人を持っているのかもしれない。
ことは日本語だけではない。妙な英語もどきの始まりは、おそらく(当時の)国鉄がグリーン車などという馬鹿げた名前を導入したあたりから始まって、やれハローワークだ、最近ではシルバーだマニフェストだと、浮かれまくって止めようがない。一見別の事象に見えるこの二つだが、実は同根だというのが怖いところだ。要するに誰かがどこかで始めた日本語の破壊作用が止めようもなく、止める意志もないままに定着する。流行語のたぐいはもともとそんなものだから、KYだろうがNIだろうが驚きはしない。しかし、こちらの方はかつは消え、かつは流れるのでなく永く定着することになる。
日本語の乱れなるものは、歴史上何度も識者の嘆き悲しむところだったようだから、屋上奥を重ねる議論の愚を繰り返しているのかもしれないが、それとはいささか趣を異にするように思う。お役所用語が生硬で無味乾燥なのは昔からだから驚くにあたらないし、もっともらしい命名で現状に目をつぶるのは占領軍ではなくて駐留軍だったとき以来お馴染みだ。そうではなくて、心にもなく国民に媚びようとするジェスチュアから、ぽろりと垣間見える愚民観とでもいえばよいだろうか。それが気が利いたつもりのセンスの悪さと結びついている、とでもいえば近いか。
知らされないで、ただ依らしめられ、「後期」だ「紅葉」だと分類されている訳には行かない。おためごかしで職業斡旋のマネをするくらいなら年金をしっかり払うべきだ。マニフェストだ、「せんたく」だと情報量不足のまま政治ごっこに振り回されるのにはそろそろ異議申し立てをしよう。
2008年 06月 07日