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2014年8月16日

akira's view 入山映ブログ 悪ガキ

 家に火をつけるぞ、と脅かして、止める代わりにあれをよこせ。舌の根も乾かないうちにお宅の犬を毒殺するぞ。しないかわりに仕事をせしめる。あげく仕事で塗りかかった壁を途中で止めて、みっともないから続けろというのなら、もっと賃金を上げろ、みたいな話を延々と続ける。この悪ガキスタイルがご存知将軍様の外交術だ。それでも核兵器を持っている(らしい)からか、それとも国内にてんで資源がないせいか、「制裁」「民主化」のための軍隊を送ろうという国もない。なまじ石油資源が豊かだったばっかりに、ありもしない「大量破壊兵器」がある筈だ、と因縁をつけられた挙句、政権をひっくり返され、国をめちゃめちゃにされた上にリンチも同然に殺されたどこかの国の大統領とは大違いだ。

 たどるのも馬鹿馬鹿しいようなものだが、一体将軍様のお約束なるものがどれほど猫の目のように変わったかを少しだけトレースしておこう。最近だけでも、2005年9月の六者会談で北朝鮮は「全ての核兵器と既存の核計画を放棄」を約束。その代わりに時期を見て軽水炉を供給する、というご褒美を取り付ける。ところがマネー・ローンダリングに神経を尖らせた米国財務省がマカオの将軍様の口座を凍結。すったもんだで約束の実行どころではないと言い出して、それが再び軌道に乗ったのが2007年2月。ここでは北朝鮮が第一フェーズとして60日以内の寧辺原子炉の運転停止の約束と引き換えに、重油5万トンの供給を受け、さらにそれが実行されれば重油百万トン相当のエネルギー援助、さらにテロ国家指定の取り消しも検討するとの言明も取り付ける。ところが今度は北朝鮮資産の凍結解除ができていない、とゴネ始めて、オカネが将軍様の懐に入るのを待って、60日どころかやっと4ヶ月後に原子炉操業停止。(これにはあのおめでたいヒル国務次官補が北朝鮮側と1月にベルリンで密約を交わしたのではないか、との疑惑があり、日本はすっかり蚊帳の外扱いされたとも報じられた。)これを承けて2007年10月には第二フェーズの約束ができ、とまあ、これからも延々と似たような外交術が続き、第二の後は第三フェーズだろう。それが「いくらにつくか見当もつかない」とヒルがいっている、というのだから困ってしまうが、指摘しておかねばならぬ点が二つある。

 一つは、全ての関連事案は6カ国協議の枠内で決定されるべき、という基本方針で、これに対して北朝鮮がなんとか米国との二国間の話し合いに持ち込みたい、との姿勢を崩さないこと。しかもそれに米国側がなし崩しに乗っかってしまっているのではないか、という点だ。二番目はいうまでもなく北朝鮮による日本人拉致問題で、日本はこの解決なくして問題解決なし、という立場を一貫して取っている。拉致問題に関して「進展」がない限りテロ国家指定は取り消さないというブッシュ大統領の約束もある。

 ライス国務長官が最近、北朝鮮の核関連設備の廃棄などこれまでの約束の完全実施を前提にテロ指定を解除すると発言。これには拉致問題の進展も含まれるだけに、一体北朝鮮から何がどう出てくるのかが注目を集めることになった。しかし、拉致に関していえば全面解決は愚か、何人かの生存者の帰国でお茶を濁されるのではないか、(これだって「進展」ではある。)その時日本はどんな対応をするのか、というのが福田さんの一番頭の痛いところだろう。かたやレームダック、こなたねじれっぱなし、というのでは将軍様の付け入る余地は沢山ありそうだからだ。6カ国会談はもう間もなく始まる。先ず間違いなく北朝鮮は「寧辺原子炉無力化」は議長国たる中国に提示するだろう。しかし保有している核爆弾の量と所在、さらにはその他核関連施設の所在とその操業問題、さらには査察手続きをめぐって10月合意の「完全実施」の解釈問題で、再度おなじみの外交が始まる可能性も大きい。米国が、そして日本がどう対応するか。それにしてもこういう悪ガキはどうしたものでしょうね。

2008年 06月 24日



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