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2014年8月19日

akira's view 入山映ブログ サンデー・プロジェクト

 民主党のそれと同様に、最近のテレビ朝日・サンデー・プロジェクト「無駄遣い検証」シリーズは面白くて観ているのだが、唖然とするような無駄遣いの内容もさることながら、それを突きつけられたときの、役人の何とも鉄面皮な対応が絵に描いたようで面白い(といって良いのかどうか)。冬柴国土交通大臣や若林農林水産大臣の発言も相当なものだが、その発言の原稿を書いたり、ご進講申し上げている立場の方々の精神風土が如実に現れている、と言って良いだろう。29日放映分の内容は、農水省関係で、廃止されたとされる緑資源機構が、実は「焼け太り」とも言われかねないような実態にあること、とスーパー林道と水源かん養保安林のうちで必要もないのに予算消化のために実施されているとしか考えられないような実例、だった。番組の中味を事細かにご紹介すればとても笑える(再びそう言って良いのかどうか)ものなのだが、今回の論点はそこではない。

 番組取材に対するお役人の対応が、「国民の為になる良い仕事を粛々と行っています」の一点張りで、そんな事実の有無に対し「調査して善処する」とさえ言わない。岐阜県の牛肉卸屋さんと同じで、悪いことをしているという自覚が皆無だから、謝るどころか、指摘する方の理解不足、勉強不足で、そう言う専門的なことはプロであるわれわれに委せておけば良い、と言わんばかりの対応になる。卸屋さんと違うところは言葉遣いが実に丁寧で慇懃なことだろうか。インタビューを申し込まれて断ったり、応答さえなかった部局もあったようだから、それに較べれば遥かにまし、というか、多少なりとも国民に対する情報公開の意欲があるお役所でこれだ。聞き流して恥じない人々がどんなメンタリティであるか、想像がつこうというものである。

 まあ、何も朝日テレビに肩入れしなくとも、NHKの国会中継で観る野党質問に対する政府参考人のお役人の答弁でそのおおよそはお解り頂けることではある。無内容、無味乾燥、慇懃無礼とでも表現すればよいのだろうか。「その件につきましては、事実の有無を含め、慎重に検討致しまして、前向きの姿勢で対応致したいと考えております」とでも言わせたら大成功だというのだから本当に困ってしまう。「慎重に検討」するのはお役人で、前向きの姿勢で後ろに下がる、というのもある。そのうえ、考えた結果、何もしないことが一番良い、という結論になるかもしれないのだ。

 基本にあるのは「知らしむべからずよらしむべし」で、これが自負心と責任感、さらにはプライドと手を携えた上に、利権構造の旨味が報償としてお供についてくる。そんな役人の態度を下支えしているのが、国民の側の「オカミ頼み」とフリーライダー意識だ。要するに何か具合の悪いことがあると、まず自分たちの手でなんとかしよう、というのではなくて「オカミは何をやっているんだ」となった上に、自己負担なしに旨いことが起こるのを鵜の目鷹の目で待っている、ということだ。役人に自己改革を求めたり、効率化を期待するのは「魚屋に行って野菜をくれ」というようなものだとは誰かの名言だが、国民の側が変わるしかあるまい。ところが変わってもらっては困るから、その先導役になり易い公益法人やNPOの活動にはできるだけ役人の影響力を確保しておこうとする。このせめぎあいは、一種根比べのようなところがあるから、めげないで粘り強く取り組まなくてはならない。

 なんだか道徳の教科書みたいな説教がましい話に聞こえるかもしれないが、真意はそこにはない。市民組織には活動家と裏方、それにサポーターが欠かせない。そのどれかの機能を果たそうよ、という呼びかけのつもりである。

2008年 06月 30日



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