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2014年8月24日

akira's view 入山映ブログ 伏魔殿

 公益法人の名前が新聞紙上に見られる時は、先にも触れた(2.7「公益法人制度改革」)ように大抵が不祥事だ、天下りだという話で、うさん臭いイメージを醸し出す元凶になっている。今回福田内閣の打ち出した「公益法人改革」なるものも、もっとはっきり言えば外郭団体のうち公益法人形態をとる350団体を対象としたもので、この無駄使いを削減しよう、という話だ。公益法人は2万6千ほど存在し、そのうちで補助金・委託金等の交付を受けているのは、公開されているだけで約8千団体。これに対して約1兆3千億円の税金が遣われている。

 ここから先が少し悩ましい話になるのだが、怪しげな外郭団体をいぶり出すためには、ここでいう8千団体とか1兆3千億円とかいう数字には実はほとんど意味がない。何故か。この8千団体、1兆数千億円の中には純粋の民間団体で、役所から委託を受けた仕事をまともにこなしている団体も含まれている。(そういう真面目な団体が、委託先に選定される代わりに天下りを押し付けられているかどうか。ほとんど調べようがない。)逆に、受けた仕事を丸投げして再委託すれば、その再委託先はここにはカウントされない。ましてその再委託先にどれほどご威光をかさにきた天下り(いわゆる「鴨がネギをしょってくる」)ケースがあるか、の実態は闇の中だ。補助金・委託金以外の費目で実質的には税金による恩恵を受けている公益法人はここで挙げたの対象にすらなっていない。今回福田内閣の「改革」の対象になっている350団体とか、300団体というのも、よくよく申し開きの余地のないオカミべったりの法人だけの話で、実態は全く不明に近い。情報公開がほとんど意味をなしていないからだ。

 伏魔殿と言われ、天下りの受け皿と言われ、役員20数名で職員が1名という冗談のような公益法人の実態とそこに無駄遣いされている税金の額はそんな訳でほとんど不明だ。その理由の最たるものは、独立行政法人整理の時と同じように、役所に自己申告をさせているという脇の甘さにある。お役所の大好きな第三者を含めた検討委員会は、なぜか話題が外郭団体になると影を潜める。なんだかパラノイアのように天下りと外郭団体の重箱の隅をつついているようだが、話は全く別のところにある。ひとつは、天下りを根絶しない限り、このテの話は巧みなカモフラージュのもとにいかようにでも存続し続ける。その総額が5兆なのか、10兆なのか、神のみぞ知る。(公益法人の総支出額は20兆円だ。)公務員制度改革が天下りを聖域として手を触れないままにおく限り、いわゆる「尻抜け」に終わる、というのはここに理由がある。随意契約を公開入札にすればそれで万事解決、というのは単なる目くらましに過ぎない。

 そしてそれに勝るとも劣らず大事なのは、前回(7.5「増税の前に」)で触れた大きな政府でも小さな政府でもない新しい「公」のあり方に重要な役割を占めるべき公益法人が、こうした薄汚れたイメージとともに語られる結果、日本の新たなあり方を封殺することになる、という点だ。そして、今回福田内閣のそれとは別に進行中の「公益法人制度改革」なるものが、完全にその息の根を止めるような出来栄えになりかかっている、という点だ。21世紀における新しい日本のあり方のために、この改革を尻抜けにさせてはならない。パーキンソンの法則ではないが、神経衰弱か偏執狂のような会社法の焼き直しのような公益法人制度改革など、誰も望んでいない。ましてや、今回おとりつぶしを考えている公益法人に対して公益認定等委員会を活用しようなどというのは、(それ自体悪いことではないが)傍論のそのまた傍論である。

2008年 07月 07日



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