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2014年8月26日

akira's view 入山映ブログ 火遊び

 2001年から始まった厚生年金・国民年金の市場運用が、2007年度は久しぶりに5.8兆円の赤字(マイナス6.4%)だという。それかあらぬか、自民党のプロジェクトチームが、より積極運用をすべく、源資150兆円のうち10兆円(現在市場運用は91兆円)をプロの手に任せたらどうだ、との試案を出した。お願いだから火遊びは止めてほしい。

 市場運用をする、ということは浮き沈みがあることを意味する。だから単年度の赤字・黒字に一喜一憂するのが愚かなことだというのは専門家でなくとも理解できる。その意味ではこの金融情勢の中で昨年度に赤字が出たのはむしろ当然かもしれない。しかし、そうも言っていられないのは、いうまでもなくこれが年金の積立金だからだ。ファンドだ、投資信託だといった商品の運用成績の良し悪しとは訳が違う。何が違うか。ハイリスク・ハイリターンであれローリスク・ローリターンであれ、その商品に投資したのは自分の判断であり、その限りにおいては自己責任の世界だ。中には詐欺まがい、いや詐欺そのものもあったのは記憶に新しいが、そうした運用主体が罪に問われるのは別論として、数ある選択肢の中から投資者はその商品を選んでいる。年金はそうではない。401Kのように自分で選んで入る個人年金とは訳が違う。

 特に問題なのは、結果に対して誰がどのような責任をとるのか、という点が全く明らかではない、あるいは責任のとりよう、とらせようがないことだ。責任をとる、というのは、民事、刑事の法的責任という意味ではない。不適切な判断に基づいて、あるいは判断過程そのものには誤りがなかったにもかかわらず、結果として損失あるいは関係者の不利益が発生した場合に、どのような事態が予想され、その事態が判断主体に対してどのような牽制効果を持つか、という意味だ。まわりくどい表現ではなくストレートにいえば、市場において経営者が損失を招くような経営判断をしたら、在任中であればもちろん解任・更迭されるし、結果が重大であれば倒産もあり得る。職を離れた後であれば、そうしたおとがめはない代わり、企業の業績悪化、あるいは経営不振というツケの犯人探しが始まれば、「あの」経営者の「あの」判断が悪かったという汚名は拭うことが出来ない。遡及して責任を問われることさえあり得る。

 それに比してお役人とか、予算主義というのはそうした牽制作用が皆無であり、そもそも「気の利いた」ことをするような制度設計になっていない。なまじ「儲かる筈」「ためになる筈」で始めた事業の数々がどれほど悲惨な結果を生んだかは枚挙に暇がない。だから、年金加入者に選択の自由がない限り、石橋を叩いてもらわなくては困るのだ。極めて静態的(static)な資金管理でさえ満足に出来なかったお役所に、火遊びを許すほど国民は寛容ではない。

2008年 07月 11日



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