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2014年9月4日

akira's view 入山映ブログ CELA(3)

 CELAの三回目である。いささか蛇足になるかもしれないが、このプログラムを優れたものとしている背景について、「日本的常識」との対比において解説してみたい。

感性とプライオリティ

 このプログラムがお役所でもなく、(数多い退役実業家の参加にも関らず)企業の社会貢献プログラムとしてでもなく、民間非営利組織(財団とか、社団、さらにはNGO・NPOといわれる組織である)が主催していることが数々の特徴、あるいは長所を生んでいることに気づいて頂いているだろうか。たとえば40数名の参加者の人選を一人のプログラムディレクターに一任している点。これを日本のお役所めいたところが行えば絶対こうは行かない。公平のために有識者からなる「選考委員会」を設け、衆知を集めるという美名のもと、あたりさわりのない無害な人選を行うだろう。やんちゃだったり、一風変わった人間が選ばれるべくもない。(アフガニスタンからは難民歴十余年のハザラ族。グルジアからは政府汚職摘発官。キルギスタンからは国際ホテルのマネージャー。アゼルバイジャンからは元女兵士の旅行会社社長。日本のお役所だったらまず絶対に選ばないね。)とはいいながら、この任に当たる特定個人のえこひいき(nepotism)に陥らせないためには、プログラムディレクターその人の人選が鍵になるのは言をまたないだろう。この人選そのものが、民間非営利組織のプロたちの相互情報交換によってなされる。どのボタンを押せばどんな音が出るか。それを知悉する餅は餅屋のプロが、世界中に少なくとも数百人は存在している。財団のプログラム・オフィサーといわれ、NGO・NPO界のプロと言われる人々だ。もちろん中にはアカデミアもいれば、政治家もいる。(ちなみに日本でこのお仲間に入ると自他ともに認める人はおそらく一ケタしかいないだろう。日本が世界の変わり者扱いされる理由の一つはここにもある。)無難で世間(といっても多くの場合ニホンの代名詞だが)に通りの良いことを第一に考えるか、問題の所在に肉薄しようとするかの違いだといっても良い。

 中東に関する超一流の研究者の多くは、現在米国にいる。そんな知的蓄積がありながらあれほど愚劣な中東政策選択をブッシュ政権が行ったというのは、まさに宝の持ち腐れ。折角のシンクタンクを始めとした非営利組織の人脈を活用できなかった悲劇と言うべきだろう。それを知ってか知らずにか、現在オバマか、マッケインかと予想喧しい中で、日本で、どちらになってもよいから新任の大統領首席補佐官を一週間京都に招待しようと真面目に考えているバカな組織があると聞いた。要するに発想のレベルと知性の度合いが違うのだ。権力におもね、場当たりのフットライトを浴びるのと、(おおげさにいえば)地球と人類の将来を考え、そのための石積みをするのとの区別がつかない。これは哀れな悲劇というより、むしろ喜劇に近い。能率主義万能で積み重ねてきた日本の繁栄が、ここにきて問い直されている背景には、折角藤原時代、あるいは江戸時代から積み重ねてきた民間の手になる「公」、つまり「世のため人のため」への志を棄てて省みなくなったことも与って力ある。前回にも触れた米国の退役実業家たちのあの真摯な努力が日本にはほとんど見られない。オカネがたまれば、月旅行の切符を買ったり、仲間内のパーティーか政治献金をする以外の知恵がないのだ。首席補佐官を招待したがるのと全く同根である。要するにオカミが「公」を取り仕切り、民の口出しをする余地は皆無に近いのだ。(この稿続く)

2008年 08月 09日



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