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2014年9月10日

akira's view 入山映ブログ 公益認定等委員会

 公益法人制度改革にあたって創設され、38回に亘って開催されている公益認定等委員会は、もちろん「公益」の名にふさわしい組織とは、事業とは何か、というモノサシを新制度への移行に際して策定しようと言う試みである。しかし、そこで審議される事務局提案による原案というのは、お役所の考える公益、オカミの目に映る公益の引写しに過ぎない。のみならず繁文縟礼、堪え難いほどのものがある。後者についていえば、もちろん、この認定を経て始めて税制上の奨励措置の対象として認められることになる訳だから、ある程度細部にこだわった定めになるのはやむを得ない。あまり曖昧でお役所のいわゆる有権解釈の幅を認めるものになったのでは、それこそ旧民法下の悪名高い「指導監督」と同じで、公益法人活動のしなやかさや自由度、さらには法人の自己統治能力(ガバナンス)を損壊するものになることは経験が示すところだからだ。

 しかし、法律の規定を含め、これまでに提案・審議されている内容なるものは重箱の隅をつつき、自由度高い公益法人の活動になんとか縛りをかけようとするものだとしかいいようがないのは残念の極みである。税制上の優遇措置は悪用されるに決まっている、という強迫観念に捕われた神経衰弱的な細部への拘泥が基本にあり、新たなる「民の手による公」の実現・拡大を認めるどころか、全く正反対の方向を指向するものとなりつつある。そもそも、時代に応じ、領域によって千変万化な公益概念をお役人の頭で考えたかたくなな定めによって細部まで規制しようとすること自体ナンセンスであり、本来は、「いくらなんでもこれは公益とは言えないよね」、という排除規定だけをおいて、後は民間の自主性に俟つのが正解だった。しかし、いかに出来の悪い法律とはいえ、出来てしまったものは、それが改正されるまではこれによらざるを得ない。ならば、せめて悪法を最大限柔軟に解釈すればどうなるか、というスタンスこそが望ましかった。

 事細かな具体例は挙げないが、一連の偏執狂的な細部規定は、税金をまけてやるからには最低限これくらいの縛りをかけておかなければ、納税者に対する公平性と説明責任(アカウンタビリティ)という責任を果たせない、という責任感と善意に出たものであろうとは思う。しかし、悲しいかな、お役所の論理、単年度予算主義、前例尊重主義に凝り固まった世界とは全く別の世界が存在することなど知る由もなければ、知ろうともしないお役人の聡明な頭脳に委員会が振り回されている、というのが実態に近い。平行線は交わらない、と信じているユークリッド幾何学の生徒には、平行線は交わる、というリーマン幾何学のことなど、思案の外である。それほどではないにしても、よかれと思って、これが国民に対する責務だと思って愚行が蓄積された例はこれまでにも多々見られている。

 何よりも、数千年毎の荘子の中に、「混沌」という良き統治者に対して、何とかその徳に報いようとして、親切心から、目や口や鼻等七つの穴を空けてやったところ、「混沌」は七日のうちに死んでしまった、という寓話(内編 応帝王編 第七)はこの間の事情を物語って余すところがない。民間非営利組織に対して、親切心からお役人が目や鼻や口をつけようとするのは、それに死をもたらす最も早道なのだ。

2008年 08月 17日



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