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2014年9月17日

akira's view 入山映ブログ スローガン

 政治的スローガンには大別して二つあるように思う。一つは、ありもしない理想郷をあるかのごとく訴えることによって、政治意図を満たそうとする試みで、マスメディアやITが今日ほど発達していない頃には、それなりの効用があると信じられていた。二つ目は、現在は存在していないのだが、それを謳い上げることによって、実現できるための一助にしようとするものだ。旧満州国の五族共和の王道楽土というのが前者なら、男女雇傭機会均等というのは定めし後者に当たるだろう。

 スローガンというのは別に言葉で語るだけ、というものでもなく、それらしい状態を人の耳目に触れさせる、という方法だって存在する。今回オリンピックで中国政府が少数民族の衣装を漢民族の出演者に着せたショーというのは、多分前者に限りなく近いのだろうが、消費者庁の設立、というのはさてどちらの趣きが強いのだろうか。野田聖子大臣によれば、従来のタテ割りタコツボ行政を排して、水平的横断的な権限を付与された歴史的な行政改革で、福田首相というのは「パフォーマンスのきらびやかさはないが、着実に実行する地味なスタイル」だそうで、21本の法律の移管を受け、各省庁から人員を配置転換して発足するから、決して大きな政府にはならないのだそうだ(8.26FCCJ)。

 それが本当かどうかはこれからのお仕事ぶりを拝見してからのことだが、消費者の保護、消費者の権利擁護を政府が、お役所が先頭に立って旗を振る、というのが何の違和感もなくすんなりマスコミに、そして一般世論に受け入れられている、というのがどうにも不可思議である。ごく些細な話から始めれば、運転免許証取得に当たっての視力検査をわざわざオマワリサンにして頂かねばならない、というあたりから、職業安定所がハローワークとかいう奇怪な名前になって依然としてオカミの手から離れなかったり、さらには誰でも知っている大銀行(メガバンク)が全て法人税を一円も納めていない、というのと同じで、本来ならば民が民の手で行ってよいものが依然として官主導で行われていることの奇怪さである。

 もとはといえば、悪徳商法から青少年非行に至るまで、何か問題が起こると、自分たちの手で何が出来るか、と行動を起こすよりも、「役所は何をしている」「厳しく取り締まれ」という大合唱の起こる国民性のなせる業だ、といってしまえば身も蓋もないが、民は性悪、官は性善というメンタリティが基本だろう。だから、民の手による公共などというのはかけ声倒れで、どうせ悪用されるに決まっているから、とことん縛り上げて官が介入しない限り民間組織に金儲け以外のことはさせない、させてはならない、という今回の公益法人制度改革のようなことになる。

 予防したほうが、起こってから対処するよりよい、というは正しいことも多い。病気から戦争に至るまで、予防できるものなら予防の段階で潰しておいた方が良いものは沢山ある。しかし、民間の手になる公共、つまり「世のため人のため」を官の専売特許にしないで民の手にゆだねてみる、というのはこれとは趣が異なる。任せてみて、目に余ることが起きたら徹底して潰す、ということでなければ民間の公益活動、あるいは非営利活動というのは育たない。「悪いことの出来ないように」制度設計してからでなくては民間組織に公益は任せない。民間公益活動の原資になる税制上の措置も認めない、というのでは、何のことはないオカミ主導の風土温存の政治的スローガンに過ぎなくなろうというものだ。

2008年 08月 29日



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