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2014年9月25日

akira's view 入山映ブログ バブル(2)

 債権、つまりオカネを貸して、それを支払ってもらえる権利が担保として役に立つ。すなわちモノと同じように、借りたオカネが支払えなくなったときにそれを処分して支払いに代える、はてはそれが独立して流通するようになる、というのが商行為として定着したのは最近のことだ。半世紀前には、「債権の担保的効用」というのが東大・京大法学部の特別講義として成立していた。まさに隔世の感である。ちなみにその頃でも、手形や小切手が裏書きによって、転々と債権者が変わる、というのは当たり前のことだった。何が違うかと言えば、一対一でオカネの借り手と返す相手が向き合っているのと、それを種銭にして次々と信用創造が起こる(6.5「バブル」)のとの違いだといってよい。

 膨れに膨れ上がったバブルがいつかはじける。いつかどこかで聞いたコトバだし、通った途だ。倍々ゲームとは言わないまでも、右肩上がりを当て込んで買っているうちに、売ろうにも売れない、つまり買い手がいなくなっておじゃんになる。振込め詐欺ではないが、理屈は余り単純すぎて情けなくなるくらいの話だ。それなのになぜこんなリーマンブラザースのような大騒ぎになるまで止まらないのか。ITを始めとするさまざまな技術の進化もあろうし、グローバリゼーションと言われる市場の国際化、従って巨大化もあるだろう。しかし、基本的にはこれは市場経済そのものに内在するメカニズムだといわざるを得ない。つまり、発生を防ぐことは原理的に不可能なのだ。

 マルクスは、資本家が搾取に搾取を重ね、搾取されっぱなしの労働者が耐えきれなくなって革命を起こし、私的所有権を廃絶する、というシナリオを書いた。これは全くの大外れだったが、利益動機と信用創造に関しては、彼の予言したようなメカニズムは当たっていないでもない。革命の代わりに、程度の差こそあれ、金融を中心とする市場の崩壊か恐慌が起こる。これが欲に眼のくらんだ人々の間だけに限定されていればどうということはないが、そうはゆかなくて、クニの、あるいは世界のオカネの巡りにまで影響を及ぼすことになるのは昨今の有様を見ていれば一目瞭然だ。

 だから、これに歯止めをかけるとすれば、借り手と貸し手が向き合うスタイルを復活させるしかない。つまり、食い逃げをさせないように、借り手にある一定範囲まではとことん責任を取らせるシステムが必要だ。つぶれた会社につい昨日まで年俸一億円の社員がゴロゴロしていて、それが今日つぶれたからといって何のお咎めもない、というのではあくどい稼ぎをそそのかしているようなものではないか。本来、規制というのはこういうモラルを維持するためにある。タクシーの料金や、酒屋の免許のためにあるのではない。まして、何が国民のためになるかを役人が決めるためのものでもない。

2008年 09月 20日



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