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2014年10月24日

akira's view 入山映ブログ 大統領選(2)

 米国大統領選では両候補とも対アジア・日本政策を争点には掲げていない、と前回(10.28「大統領選」)で述べた。しかし、直後の10月28日にこれまでの選挙戦で両候補が演説で言及した内容について、戦略国際問題研究所(CSIS・在ワシントン)のPacific Forum(在ホノルル)がPacNet Newsletterで要約しているのが目に留まった。余り細部にわたって日本で報道されることもないので、その内容を一部筆者の所見を含めつつ紹介しておきたい。

 アジア全般に関しては、両者ともにこの地域の重要性について言及はしているものの、オバマが特に中国とインドの存在を重視するとともに、これまでの米国のアジア政策がしっかりとした反省に欠ける(short shrift)とする。それに対してマケインはこの地域に対する関係深化に対して、地域機構との関係を重視するとともに、米国のリーダーシップとコミットメントを必須としているのが目につく。

 特に対日政策については、オバマが日本との間には基本的な価値観が共有されていることを重視し(7.4「悪ガキ(2)」で重村早大教授がこれに疑念を評していたのが想起される)、地域の安定に対して日本の一層の役割強化を望むと述べた、とされる。マケインは同じく日米関係の重要性を強調するが、特に中国に対して、封じ込め(contain)でも孤立化(isolate)でもない平和的な統合(integrate)という方向付けをする上での日本の機能を重視しているのが目についた。

 中国及び台湾海峡問題については、オバマが特に北朝鮮問題を巡っての六者協議の場を例に挙げ、近隣諸国と共同して事に当たる可能性を重視する一方、貿易問題については国内法とWTOの活用によって対処してゆく、と言明。言外に洪水的な輸出には厳然として対応することをほのめかす。また中国国内の人権問題、民主主義と法の支配の確立も引き続き求めてゆくとする。一つの中国の立場は堅持するし、クリントン時代に確立された三つのコミュニケ、また台湾への武器供与も支持するとする。マケインは中国との協調を重要としながらも、その軍事力拡大、重商主義的貿易政策に危惧の念を表明するとともに、中国国内における政治的自由の欠如、スーダン・ビルマといった諸国との関係については好ましくないとする。中国が望ましい方向に発展してゆく上ではアジア諸国との共同作業が必要とも述べる。台湾に対する武器供与は断固支持。対台湾関係重視と共に、台湾の自主的発言を確保することは必須と述べる。海峡問題については、ややタカ派的なニュアンスが読み取れる。

 朝鮮半島問題、特に北朝鮮については、オバマがIAEA枠内での不拡散とその検証が行われうる限りテロ国家指定の解除は妥当とし、その前提が守られなければ制裁を含む処置をとると述べるとともに、近年の対韓関係の劣化の原因には、米国の対北朝鮮の態度があったと明言しているのが注目される。また、通商関係の改善が必要だと述べ、明示の形で牛肉の問題を自動車とともに指摘する。が同時に、そのためには労働条件、環境問題などの基準を韓国が満たすことが必要であるとし、現行の米韓FTAはその基準を充たしていないとする。一方マケインは朝鮮半島非核化には他国との共同行動が必要だと述べ、それに関連して明示の形で韓国・日本の拉致問題に言及する。望ましからざる状態解決のためには単に話し合い(talking)のみならず,制裁を含む行動も必要とする。

 一般的なアジアとの経済分野での関係については、オバマがAPEC枠組みの機能を評価する一方、輸出志向、弱い通貨に依存するアジア諸国の体質は是正されるべきだとし、労働条件、環境、知的所有権などに対する基本的条件が充足されるべきだと述べる。マケインはオーストラリア、シンガポールなどとの間に締結されているFTA枠組みに今後とも依存してゆく立場を明らかにすると共に、アジアの一部に見られる米国を排除した枠組みについては強く牽制しているのが注目される。

 一読すればお解りのように、基本的スタンスというよりは、若干のニュアンスの差というに留まるものが多いが、なかなか興味深い内容ではある。

2008年 10月 29日



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