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2014年10月30日

akira's view 入山映ブログ オペラ

 ゲルギエフの「指輪」以来、久しぶりに二週間で三つのオペラを堪能した。ゲルギエフといえば、追っかけが出るほどに人気と迫力を兼ね備えた当代一・二を争う名指揮者だが、過日のグルジア紛争では、ロシアを無条件支持するというコメントを出したのにはいささかがっかりした。現在のロシアが、芸術家がそう言う発言をせざるを得ない雰囲気なのかどうかは知らないが。もっとも、ナチスの庇護下にあったからと言って、フルトヴェングラーの芸術価値が傷つく訳のものでもなかったのだが。

 三つのうち二つは、佐々木さんのNBS招聘のウィーン歌劇場だから間違いようがない。「コシ」はいままで何回か聴いたうちで、文句なしに最高の出来だったし、退屈なオペラだとばかり思っていた「フィデリオ」も、音楽と歌手が素晴らしければ勧善懲悪だろうが凡庸な筋書きだろうが、もうどうでもよいことを痛感した。
 後の一つは新国の「リゴレット」。これをウィーンと同日に比較するのは気の毒だからさておくとして、歌手の一生懸命な舞台と、スパラフチーレの長谷川顕の声(彼が合唱団に15年いたというのは本当だろうか)、そして見事な舞台は見応えがあった。(終幕で舞台に本当に雨が降ったのには驚いた。)

 最近ドイツの若手の演出家を中心に、妙に現代風の舞台が流行している。「指輪」でウオータンが背広にネクタイで登場したり、トリスタンがヨットの上でガウンを着てシェービングクリームでひげ剃りをしていたり。まあ、革新的な試みには毀誉褒貶は様々なのだろうが、好みではない。その点、今回の舞台は全て正面切って古典的と言っても良いもので、違和感なく安心してみていられた、なんていうとそろそろトシかな?

 それにしてもオペラの幕間で、ブースの売り子たちが飲み物はこちら、グッズはあちら、と騒がしいのは何とかならないものだろうか。N響定期公演の夜店の客引き騒ぎみたいなのに比べればいくらかマシだが、あれは売り子の自発的努力なのか、経営陣が何かとりちがえているのか。

2008年 11月 05日



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