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2014年11月4日

akira's view 入山映ブログ 自主的返納

 2兆円を費やして「緊急経済対策」の一環として一人1万円強のお小遣いを下さるという。結構ではないか。最近はとんと悪者の感のあるてこ効果(leverage)あるいは乗数効果だが、同じ2兆円を使って、それが10兆円にも、100兆円にもなりうる使い方があったのではないか、という議論もある。が、れば、たらはこの際放念することにしよう。問題はこの施策が、内需拡大の手段として採用されたのか、格差是正、恵まれない人に愛の手を、として計画されたのかである。別に一石二鳥を狙って悪い理由はないが、もしかして「経済の麻生」氏が内需拡大の手段として考えられたのなら、高所得者層ほど「こんなはした金」(失礼)はぱあっとホテルのバーでカクテルをもう一杯か、孫にファミレスでふんだんに振る舞うのではなかろうか。むしろオカミがこんな善政をひくこと等滅多にあることではない、と考える低所得者層こそ、せっかくのタナボタ(windfall)は貯金するに限る、と考えて使おうとしない、と考えるのが自然ではないか。大盤振る舞いに気がさしたかのような自主的返納議論というのは、ほとんど笑止の沙汰と言うべきだろう。

 同じことは田母神元空幕長の論文騒ぎについても言える。彼の論文が史実的に、あるいは学問的にどれほどの価値と信憑性があるかはこの際不問に付そう。だが、現職の国家公務員の要職にある人物が、政府見解と明らかに抵触する、あるいは違背する意見を公開した場合、処分を受けるのは当然のことだ。ただ、懲戒免職処分をしないで、自主(定年)退職という「ことなかれ」の措置をとった挙げ句、退職金の自主返納を期待する、というのも、笑止を通り越して唖然とする話だ。何につけても目くじらを立てて黒白をはっきりさせるのが能ではない、「なあなあ」で「ことなかれ」にもそれなりの美徳が存することもわれわれは経験的に知っている。しかし、それが無原則のことなかれに堕した場合の弊害は、いまさら言挙げをするまでもないように思う。

 憲法九条もよい例だ。田母神氏の言うように、集団的自衛権を肯定しないような国家と国軍はありえないのかどうか、そろそろ「ことなかれ」のカメレオンを決め込む利益と弊害は、後者に比重がかかっているように思われる。

2008年 11月 12日



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