2014年11月19日
akira's view 入山映ブログ アフガニスタン(2)
日本紛争予防センター(http://www.jccp.gr.jp/)の主催する講演会で最近のアフガニスタン・パキスタン情勢について聞く機会があった。先にこのブログに書いた「アフガニスタン」(10.21)について若干の修正を加えた方が良いか、と思われる知見を耳にしたので、紹介をかねて記しておくことにする。
先のブログの要旨は、米国は、はすみで(というには余りに重大だが)イラクを侵略してみたものの、とても一筋縄ではゆかない。本来憎いのはビン・ラディンであり、アル・カイダなのだから、さっさとイラクはけりを付けてアフガニスタンに向かいたい。ところがタリバンは一旦は簡単にやっつけてはみたものの、アル・カイダと手を組んだ上にパキスタン領内に穴熊を決め込まれると、これはどうしようもない。ここはタリバンと仲直りをしてアル・カイダを裸にして攻撃する他はあるまい、というものだった。
ところが、田舎育ちのパシュトゥン(アフガニスタンの人口の半数近くを占める支配的部族)の素朴な人々が、腐敗した政府を義憤に燃えて打倒しただけのことで、米国に介入されるともろくも崩れ去ったあの頃のタリバンとは違い、アル・カイダやパキスタン諜報部(これについては確証はないようだが)にみっちり鍛え上げられた現在のタリバンは様変わりだという。のみならず、今や米国相手に勝ち戦の真っ最中だと認識している。負けかかっている方が話し合いを提案しても、これは聞かれる筋合いではない、という観測があるようだ。
反面、義賊ロビン・フッドだったはずのタリバンが、身代金目当ての誘拐に手を染めるわ、麻薬取引で資金を得るわ、みたいになると、一寸待ってくれ、みたいな話があると同時に、必ずしも一枚岩・上意下達の組織ではなくなっている現在のタリバンであってみれば、切り崩しに応じる余地は十分にある、という見方もあるようだ。アラブ人の組織であるアル・カイダとの違和感、さらにはアラブからの輸入品である自爆テロに対する抵抗感も与って力あるのではないかという。
オバマ政権がこれを利用しない筈はない。ヒラリー国務長官であってみればなおさらそうだと思う。米国に気に入られたくて、サマワに給水部隊を派遣したり、給油活動にいそしむ以外に日本に出来ることは山ほどある。タリバンに穏健なマドラサ建設の援助をするとか、間接的にパキスタン経由でそれを行うとか。失敗が許されないお役人・外務省からは逆立ちしても出てこない発想であってみれば、NGOにやらせてみる好機だと思うのだが。
2008年 12月 05日