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2014年11月25日

akira's view 入山映ブログ 政策(2)

 前回中央省庁に寄生する外郭団体のいくつかに荒療治を加えて、プロの政策集団に転換する可能性を示唆した。民間人をトップを含め多数起用すると共に、元官僚と「明けても暮れても」政策論議を戦わせることによって一級品のシンクタンクにしよう、という構想だ。朝日新聞の辻さん言うところの、「害虫」を「益虫」に生まれ変わらせるアイディア(「都市問題」12月号)であり、数ある外郭団体の中には、少しは見所のある組織だってあるのではないか、という期待もある。無論そんな転換が官僚の手で実行できる訳がないから、これには豪腕の政治家が采配を振るう必要がある。そんな大臣の一人や二人見つけることが出来ないようだったら、それこそ議会制民主主義が泣こうというものだ。

 一抹の危惧がない訳ではない。たとえ一度はそんな模様替えに成功しても、大臣が変わったり、政権が交代したりしたら元の木阿弥に戻る可能性はある。しばらく頭を低くして風が通り過ぎるのを待ち、またなし崩しに元の「天下り天国」に戻す、なんていうのは官僚諸氏の得意中の得意技であり、そんな実例もこれまでの特殊法人や外郭団体の統廃合でいくつも見られているのは人の知るところだ。だから、この転換は明確なメッセージ性を付与したものでなくてはならない。今回の麻生政権の経済対策のように、メッセージ性が皆無で、小出しのアイディアのパッチワークのようなものの一つだったりしたら、落ち着く先は見え見えだからである。幸い現在のところ、与野党共に霞ヶ関支配、官僚支配には反対が建前のようだから、与野党合意のもとにこうした大手術を行うのは多いに可能性があると思う。

 この改革には、プロの政策集団を創造する以外にいくつかの付随する効果もある。ひとつは、やる気のある優秀な官僚諸氏に、退職後録を食むだけで何の役にも立たない仕事をするのではなく、これまでの経験を生かした意味ある仕事の場を提供できることだ。もちろん現職の若手を取り込むことも可能だが、海のものとも山のものとも知れぬ組織に進んで手を挙げる官僚がそんなにいるとも思われないから、取りあえずは退職寸前の出来の良い官僚を選ぶところから始めるのが現実的だろう。そんな人材を見つけることは十分に可能であると信じたい。いまひとつの副次効果は、学者・有識者を単なる評論家として、あるいは御用学者として無責任な太平楽を並べ立てていれば良い、という天国から、責任ある政策提案者として再生する可能性である。お説ごもっとも、だけではいつまで経っても官僚支配は終わらない。

 こうした組織がいくつも出来て、それぞれの提案の実効性を競うようになって始めて政党政治は機能するようになる。そしてそれこそが、「民」が「公」の分野に発言権を持つようになる第一歩だ。その推進役を果たすのは政治家をおいてはない。自民党が、あるいは民主党が、政策実行集団として国民に信を問うためには、まずこの改革を成し遂げることを望みたい。百年待ち望んだ公益法人改革が、官僚の手によって見るも無惨な結末に陥りかかっている今、空理空論ではなく地に足の着いた脱・霞ヶ関を明日に向かって展開するために、政治家のリーダーシップを期待したい。

2008年 12月 13日



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