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2014年12月9日

akira's view 入山映ブログ プロとアマ

 一年回顧の番組が多い時期になった。残念ながら暗いニュースが多い。で、定番になったタレント司会者やコメンテーターがお気楽におっしゃることの多くは「政府の対策が望まれますね」。大赤字の予算をなんとか埋蔵金やら国債の増発やらで乗り切ったご時世をご認識の上の発言だろうか、といぶかしくなる。もともと、真面目に取り上げて議論する方がおかしい、いわば床屋政談に毛が生えたようなものかもしれないが、世にその途の専門家がいないではなし。それともクルーグマンが言うように、専門家は一般大衆とコミュニケートする言語を喪ってしまったのだろうか。あるいはタレントや歌手と同じように、大衆性、あるいは月並みな一般人の中から出てきたような人でなければ、コメンテーターとして受け入れられないような社会にわれわれは生きているのだろうか。

 しかし、笑って済ましてもいられない事情があるような気がする。プロとアマ、つまりは質の善し悪しを見分ける「めきき」がいなくなれば、カルトとデマゴーグの出現はほとんど必然だからだ。さりとて官製の押しつけ「めきき」のおそろしさは、ジョージ・オーウェル(1984年)に間然とするところがない。市場経済の弱肉強食・ジャングルの論理か、計画経済の官僚統制か、という選択の不毛さと同じように、あるいは衆愚政治と哲人政治の対比と同じように、「めきき」不在か、唯一至高の「めきき」かという選択も実は正しい選択肢になっていない。

 無数の「めきき」を予想する多元的価値観モデル、市民社会モデル、このブログが再三力説する民間非営利組織の機能強化こそが唯一の回答であるように思われる。ひらたく言えばプロ(12.11「政策」)がメシを食える社会にすることだ。このプロが役人の統制に服するようではそれこそ「泥棒に十手捕り縄」を持たせることになる。プロは霞を食って生きて行く訳には行かない。だから資源が必要になる。その資源を誰が供給するか。裏庭に金のなる木が生えている訳もない。市民が自らの手で供給する他はない。それを根絶しようと言う試みが「公益法人制度改革」の名の下に進行中であることをもっとわれわれは知るべきだと思う。年の暮れ、つい肩に力が入っているが、来年はこのテーマをもっと取り上げてみたいと思う。ご愛読を乞うや切。良いお年を。

2008年 12月 31日



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