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2014年12月14日

akira's view 入山映ブログ ミクロとマクロ

 朝日新聞1.7は夕刊一面に「小物家電の町医者・使い捨て防止へ環境省が構想」という見出しの記事を掲載した。内容というのは「家電が故障したら地域の「家電の町医者(リペアマイスター・家電製品協会の「家電製品エンジニア」制度で認定された約5万7千人)」に修理を依頼。いらなくなったら中古品として流通させるー環境省は今年から、家電の使い捨ての風潮を食い止めるための仕組み作りに乗り出す」というもので、「同省リサイクル推進室は「二つの取り組みを進めれば、家電の寿命を永くでき、ゴミの減量にもつながる」とみている。」と高山裕喜記者の署名入りのご報告である。

 小物家電の使い捨てを防止するのは結構なことだし、ゴミの減量に「町医者」とやらを活用するのも悪い知恵ではない。しかし、これが中央の政策官庁たるもののなすべき仕事だろうか。まして、天下の大新聞が提灯持ちさながらに、何の批判もなく掲載すべき記事だろうか。ちなみに記事中の家電製品協会というのは年間四十数億円の事業規模を誇る財団法人で、この団体の賛助会員には日本の錚々たる大企業がそろい踏み。いわば典型的な外郭団体。従って、今回の公益法人制度改革では間違いなく公益認定が取得できるオカミお墨付きの組織である。その活動を国策として認知し、予算を付け、PRする。こういうことだから、口には「民」のイニシアティブだといいながら、自分の息のかかった活動しか「民」にはさせたくないという官の根性が生まれる。

 マネージメントにも、経済学と同じでミクロとマクロがある。中央省庁がミクロに踏み込んでその具体的施策まであげつらっていたのでは、肝心のマクロがお留守にならないか。この外郭団体にとって、本命は経産省であり、環境省はいわば添え物のような役所ではあるが、だからといってことの是非が変わる訳ではない。ミクロに淫したくなる心情はお役人ならずとも、誰しもが持っている。会社の役員会で、数百億円の設備投資については数分で決定されるが、数万円のウォータークーラーを備えるかどうかについては数時間の議論が戦わされる、と皮肉ったパーキンソンはその間の事情を見事に見抜いている。

 京都議定書の実施を巡って、キャップアンドトレードによる排出権取引には産業界の反対が強く、いまだ自主参加方式に留まっている。それでよいのか。また、ビョルン・ロンボルグによって提起されているより基本的な問題、つまり、温室ガス削減にこれほどのオカネを使うのなら、それより先に環境問題に就いてなされるべきこと(例えば途上国における清浄な飲用水の確保)があるのではないか、といったマクロな政策課題は解決にはほど遠い実情にある。「脚下を照らせ」とは禅の公案だが、足下だけに気を取られていては国の政策が泣こうというものだ。

2009年 01月 08日



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