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2014年12月16日

akira's view 入山映ブログ メディアの堕落

 たまたま朝日新聞からの引用が多いが、別に朝日を敵視している訳でも「アサヒが赤い」と言いたい訳でもない。むしろ、日本のメディアが果たすことを期待されている役割を果たさないどころか、テレビのコメディ番組も真っ青なくらい、大衆感性迎合主義のような提灯持ちに陥っていることを指摘したいだけの話だ。

 朝日新聞1.9夕刊「窓」欄は、論説委員恵村順一郎の署名入りで「人の痛みと政治」を掲載した。その内容は「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのか」という例の坂本総務政務官の発言と、「たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分のカネ(医療費)をなんで私が払うんだ」という麻生首相の発言を引用して、「個人の努力やまじめさではどうにもならない現実がある」から「人の痛みや苦しみを受け止める想像力のない政治は、悲しい。」と締めくくる。ごもっともな正論であり、政治に完璧を期し、人間に完全を求めるというのは否定・批判のしようがない。しかし、これは「列車が到着しますから白線の内側でお待ち下さい」「駆け込み乗車は危険ですからお止め下さい」という駅のアナウンスと何が違うのだろう。明日は雨だ、というのはもしかすると間違っているかもしれないが(最近は確率何%という)情報量がある。明日は晴れか曇りか雨か雪でしょう、というのは多分100%正しいが、情報量がない。つまり何も言っていないに等しい。誰も否定できない砦に安住して賢者気取りの論評を加えるのは文筆を業とするものにとって堕落、唾棄すべき存在ではないのか。

 日比谷公園の「年越し派遣村」に集った人々が、全てこれまでの人生において真摯な努力を払った人々であったか。また、病院の待合室で高齢者が「あら、xさんは今日はみえませんね。もしかして病気じゃないかしら。」という世界が存在しているのも事実だ。政治家として、それをあのような形で発言・言明するのが妥当か、適正か、というのは議論もあるだろう。しかし、そうした社会現象にあたかも破邪顕正の剣を振るうがごとく、常に正しい(従って情報量ゼロ)の論をなすマスコミなどというものは、ほとんど存在価値を自己否定しているに等しい。マスコミがおちゃらけ娯楽番組か、常に正しい論陣しか張れなくなっているのなら、市民が声を挙げる他はない。しかし、それが2チャンネル、あるいは無責任な言論の垂れ流しに終わる危険性が常に存在するのであってみれば、「めきき」の必要性は常に存在する。官製の「めきき」はごめんこうむる。しかし、どうすれば健全な市民社会が存在しうるのか、というのが問いかけになる。これこそがこのブログが読者諸氏に訴えたいことであるのだが。

2009年 01月 10日



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