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2014年12月18日

akira's view 入山映ブログ 市民社会(2)

 お役所が万能だと思っている人は流石に(一部のお役人を除いて)最近ではいないだろう。ところがその割には、面倒なことが起こると何でも「政府は何をしている」「これに対応する政策が望まれる」式の議論が多いことについては何度か触れた。なぜそんなことになるのか。面倒な事態の解決に向けて、「民」がイニシアティブを取る、というのがどんなことか、その具体的なイメージがわかないところに一つの原因がある。まずはやってみようではないか、という具体的なアイディアとして、身近なところから始めてみたり(12.29「他力本願」)、「民」を中心として「官」のOB・OGを活用する政策のプロ集団を作ってみてはどうか(12.13「政策(2)」)といった提言もしてみた。なぜそれが形にならない、実現されないのかといえば、理由はいくつもあるが、これから何回かにわたってその主なものを挙げつつ、市民社会を実現してゆく上での障害の取り除き方を検討してみたい。

 一つにはオカネを中心とした資源の問題がある。そういう仕掛けを作ろうにも、仮に言い出しっぺが存在したとしても、維持運営してゆくオカネのあてがない、あるいは極めて少ないということだ。民間から浄財を募ろうとしてもなかなかうまくゆかない、と言い換えても良い。実は全く起こっていない訳ではない。赤い羽を中心とした共同募金が200億円を超えるオカネを集めたり、日本ユニセフ協会が170億円を集めたりしているのはまぎれもない事実だ。だが、こうした団体は古くからの「のれん」に対する信用があり、様々な組織が力を貸しているという事情もある。新規参入の組織ではとてもこうはゆかない。信用もない上に、立ち上げの所謂イニシアルコストがなかなか調達できない、というのがこれまでの常識だった。というのも、DMひとつ打つにしても、印刷代はともかく切手代がかさんで(米国のような民間非営利組織に対する割引制度がない)仕方がない。だからインターネットが登場したときは福音かと思われた。ほぼ無料に近い形で募金活動が出来そうだ、という訳だ。現にいくつかの団体がこれに飛びついてみた。が、結果はさほど思わしくないようである。

 うまくゆかない理由は、オカネを出す側からみればすぐ解る。何万と存在する市民社会組織(財団・社団・NGO・NPO)の活動や信用度について、いちいち検索したり、アクセスできる訳もない。それらを束ねて、活動分野や活動情報、さらには信用度を一覧のように提示する仕掛け(サイト)がない限り、ITは幻の武器に過ぎないことになる。幸いこの方向に向けてのいくつかの試みが見られるようになってきているが、オバマ氏がネット上で6億ドルを超える資金を集めたようなことが日本で起きるところまではきていない。これまた一つには、そうした総合サイトの立ち上げと維持には千万単位のオカネがかかるところにもある。しかし、逆に言えばことはその程度のオカネの話であり、その実現にはそんなに時間はかからないかもしれない。それよりもむしろ問題なのは、そうした組織に対する「信用」の付与のほうで、その有力な手段である公益法人制度が、とんでもなくハードルを高くして、しかもそのハードル設置の論理が実に馬鹿げた「官」優位の論理に基づくことのほうだ。(12.28「公益法人制度改革(2)」)(この項続く)

2009年 01月 27日



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