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2015年1月16日

akira's view 入山映ブログ 発音の問題

 「ギョオテとは俺のことかとゲーテいい」とは、ドイツ語のウムラウト、つまり母音とeを同時に発音する特殊な音を日本語にする難しさを題材にしているが、英語についても、日本人にとって難しい例のLとRの話がある。筆者の当時小学校三年生だった次男が、アメリカ生活三年を終えて帰国したとき、ローマ字の時間に、どうしてライオンがRなのか合点がゆかず、これはLのはずだ、とがんばって先生に叱られた(!)というのもその延長線上の話だ。

 発音だけの話ならばまだ正解の見つけようもあるが、ことが「いいまわし」になると妙な理屈に説得されたりするから要注意だろう。カレーライスとライスカレーは、ご飯の上にカレーがかかって出てくる(割に安価な)やつがカレーライスで、別々にでてくる(値段が高めな)のがライスカレーだ、みたいなのは罪がなくてよいが、「改革なくして成長なし」と「成長なくして改革なし」のように因果関係の逆転するような話は眉に唾を付けてかかる必要がある。

 改革なるものを推進した結果、影の部分が発生した。時あたかも経済はどんぞこ状態。ここはその立て直しが先決で、改革は後回しだ、という位の意味に解釈されかねないからだ。病気にかかって高熱が出た。体力消耗を避けるために、とりあえずは熱冷ましが先で病気の治療は後回しでよい、という話だ。もちろんそれが当面の治療法として有効なこともあろう。しかし、有能な医者なら、決して事態を二者択一で考えたりはするまい。改革が必要とされたのは、官僚による規制、税金の無用の使途を根絶しない限り、潜在的に存在する経済成長に向けての活力が阻害され、場合によっては根絶やしにされる、という理由だったはずだ。これに過去の成功体験の幻想が尾を引くから話は厄介になる。この国の成功、成長を支えた、あるいは牽引したのは、有能かつ無謬の官僚による産業政策であり、舵取りであった。よって、危機に瀕している今、彼(女)らの力をそごうとした過ちを悔い改めて、その再登場を乞い願うのは必至だ、といわんばかりである。

 蒸気機関車はかつて陸の王者だった。レトロにそれを懐かしむのはよい。しかし現在ただいま、その復活こそが望ましい、といえば頭がおかしいと思うだろう。過去の一時期、貧困に喘ぎ、戦争の傷跡からの復興が国家目標だった頃、あるいは官僚の指導的、政策立案的能力があずかって力あったかもしれない。しかし、基本的に官僚システムの制度設計原理は、一律公平、前例尊重、繁文縟礼だ(11.7「官僚制」)。また、そうでなくては困る。功成り名遂げた役人や財界人が、人生の終わりに欲しくなるのは名誉と叙勲だ、というのは人が自分にないものをいかに欲しがるか、という典型例だろう。有能な官僚、機能的な官僚システムに限って自分にないもの、やってはいけないことを欲しがり、したがるものだ。その一端はこれまでにも示した(08.1.9:09.1.30「武士の商法」7.11「火遊び」)。政治家もグルになってまたやりたがっている。させてはいけない。

2009年 02月 21日



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