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2015年1月22日

akira's view 入山映ブログ 財政赤字

 オバマ大統領は米国の財政赤字が累積で11兆ドルを超えるとして緊急事態を宣言した。日本のそれは800兆円、端数はともかくとして8兆ドルである。米国の人口もGDPも日本の約3倍であることを考えれば、日本の「緊急事態」度は米国の2倍以上だといってよいだろう。しかし、最後にそれについて言及した小泉首相の後は、よくておざなり、悪くするとそんなものは忘れてよい、位の対応である。オオカミ少年ではあるまいし、危機をあおるだけが能ではないが、ここに至ってもなお道路や新幹線を作りたがる人々というのはどのような精神構造か、と疑いたくなる。

 オバマのカリスマ性は求めるべくもないが、子々孫々に8兆ドルのツケをまわして、本当に平気なのだろうか。気休めの議論は例によって事欠かない。なに、インフレが来ればいっぺんにチャラだ。名目成長率を長期金利より高くすればよい。等々。それに与しないで事態をなんとかしようとすれば、福祉だ、教育だ、ODAだ、をぶった切ってプライマリーバランスを回復しよう、という話になってくる。もちろん即効薬も秘策もあろうはずがないが、どうするかについて正面切った問いかけがされたことがあるのか。ホワイトハウスに識者120人を集めて3時間議論をした、というオバマは、少なくとも結論について国民世論の趨勢を問うた、というポーズはしてみせている。ポーズを忘れてホンネ一本が渡世の義理だ、といわんばかりの与野党の言説については再度触れている(2.14:24)から繰り返さない。すり寄る御用学者(再三触れているが、最も鋭い指摘は12.17「私の履歴書」)を集めたナントカ会議とかナントカ委員会というのは官僚の描く筋書きにすぎない。

 官僚機構というのは単年度主義だから、子々孫々に責任を負う必要はない。責任を負うはずもなければ負えるはずもない人に将来を委ねてよいのか(1.20「武士の商法」)。政治家に負わされた責務がこれほど大きいのは、近世では大東亜戦争開戦時と、日米安保条約の選択時以来ではないか。一度は失敗し、一度は成功した(と筆者は考える。)。さて、今度はどうなるか。というより、ガタガタの麻生政権が、あるいはその後継内閣が衆議院を解散したとき、どのような選択肢がわれわれの前にあるのだろうか。誰が考えてもほとんど絶望的だというほかはあるまい。ならば黙って責任を負えるはずもない人々に我々の将来を託するのか、それとも唯一の異なった選択肢である「市民社会」に賭けるか。選択するのは他でもないわれわれだと思う。

2009年 02月 26日



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