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2015年1月29日

akira's view 入山映ブログ 寄付

 賄賂はそれによって得られる利益を上回ることはない、というのは山本夏彦の名言だが、西松建設が手の込んだ迂回ルートまで創設して行った「政治献金」というのは、国を憂い、陸山会に日本を託したい、という至情によるものなのだろうか。そもそも見返りを求めない献金などというものがあるのだろうか。

 世知辛いご時世ではあるが、見返りを求めない投資というのは現に存在する。市民社会組織に対する寄付がそれだ。中には、名声が欲しい、勲章が欲しいみたいな動機で寄付の見返りに名誉学位を何百か貰ったり、己の善行を世に喧伝する手合いもいないではないが、そのオカネが「世のため人のため」に使われないで、古手の官僚の給料や道楽息子の小遣いに化けるくらいだったら、それを大目に見てもよいのかもしれない。

 寄付の文化がなかなか日本の風土に定着しない、というより、まれに出現する篤志家が何十億円というオカネを寄付することがあっても、その寄付先が地方自治体だったり、「名前の通った」団体であることが多く、のどから手が出るほど困っている組織に向けられたのを聞いたことがない。もちろん市民社会組織の非力が原因となり結果となってのことだから非を他所にのみ求めるつもりはないが、だからこそ「旦那衆」(今風にいうと「スポンサー」)や「めきき」が欲しいものだと切に思う。無名の才能あるものを世に出すためには、絶対にこの二つが必要だと思うからだ。「めきき」ぬきのオカネのばらまきは悪趣味と紙一重だし、「旦那衆」ぬきの「めきき」はゴマメの歯ぎしりになりがちだからだ。

 今回の例の給付金にしても、横浜の中田市長は寄付を募って基金を創設するという。すばらしいアイディアだと思うが、願わくば市民社会、もっと具体的にいうと民間財団か非営利組織に運営をまかせる、という一言が欲しかった。もっとも、「さもしい」といった挙句貰うことに踏み切った方々の口からは、一言も寄付の話は出なかったから、それに比べればよし、とするか。

2009年 03月 04日



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