2015年2月6日
akira's view 入山映ブログ カンボジア
3月のカンボジアは乾期も終わりに近く、日中は36度を超える暑さで蝉の声がかしましい。日本の半分ほどの広さに東京都程度の人口が住むこの国は、森の国といわれるほど緑が豊かである。隣接するベトナム、タイ、ラオスとの歴史的な葛藤は、これらの国々について学ぶ機会のほとんどない日本では知られることが少ないが、過去の物語ではなく、現在を生きる人々の意識の中に厳然と存在している。今回の短い訪問でも、それは実感された。
考えてみれば、アジアの国々について学ぶことが少ない、という事態そのものに問題があるのではないか。数百を超える世界の国々について、全てを教えることは出来た相談ではないが、欧米中心の世界認識はそろそろ本気で見直す必要があるように思う。脱亜入欧は近代化の旗印だったし、それが間違っていた訳でもない。しかし、同時代人が強調していた「アジアは一つ」の主張の方は、第二次大戦中の「大東亜共栄圏」のアレルギーが強いのか、一向に耳にしない。
AIG役員の高額ボーナス問題や、その根底にある契約万能主義は、日本人の多くに違和感を持って迎えられているのではないか。牽強付会の説をなすつもりはないが、アジア的価値観との差異が根底にあるように思う。人権概念を巡って、規範概念たる人権に「アジア的」という形容詞を付することが許されざることかのような論調が一頃さかんであったことを想起する。別に西欧を目の敵にする訳でもなければ、アジアのすべてが良い訳でもない。しかし、歴史と風土に根ざすものと、国際的なルールとの両立をめざす、ということでなければ結果は経済万能主義、拝金主義と同じことになる。
2009年 03月 22日