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2015年2月9日

akira's view 入山映ブログ カンボジア(2)

 前回の「カンボジア」が、ひとりよがりの記述で解りにくい、というご批判を何人かの方から頂いた。自戒の念を込めて再度意のあるところを「解りやすく」述べてみたいと思う。

 先ずカンボジアとそれを取り巻くベトナム・ラオス・タイとの歴史的な葛藤というのは、あたかも上杉・武田・北条の鼎立状態のごとし、といえば近いだろうか。お互いに隙あらば、と窺い、日本の場合と違って現実に実効支配はおろか、併呑までしたりされたりした関係である。しかもそれが歴史的事実にとどまらず現代に後を引いている、というのは、あの悪名高きカンボジアのポル・ポト政権を打倒したのが、現実にはベトナム軍の支援を受けた勢力だった。つまり外国の干渉下に成立した政権であったという一事を以てしてもその一端は知られるであろう、ということである。これにフランス、米国と言った西側大国の介入と、それに対応する親外国国内・国外勢力の盛衰の歴史を会わせ考えれば、現代におけるその複雑さはかなりなものだ、ということだ。

 脱亜入欧も、岡倉天心の「アジアは一つ」も人の知るところだが、大東亜共栄圏(あるいは第二次大戦)の後遺症で。アジアのリーダーたる気概を見せることにおいて、日本がすこぶるつきの及び腰であったことは想起されて良い、というのが論旨だった。マハティールがlook Eastを唱えた時にも、ASEAN諸国が植民地後遺症からの脱却に日本モデルを求めた時も、鈍感と言われてもやむを得ないほどに日本が自制的であったことはもっと認識されて良い。近年の歴代首相のアジア重視の発言も、綺麗ごとの域を出ず、なりふりかまわぬ中国の行動様式とはまさに好対照をなしている。

 「アジアの奇跡」に対して世界銀行が単なる教育投資の累積の結果に過ぎない、と切って棄てた時も、アジア通貨危機に対して冷たく見放していた欧米諸国の対応に対しても、少なくとも正面切った反論のイニシアティブを日本は取らなかった。(あるいは取るそぶりを見せて、米国に反対されて早々に尻尾を巻いた。)世界第二の経済大国であるにも関わらず、である。それはアジア的価値観に基づく謙譲の美徳とか、節度(reservation)によるものであったかもしれない。しかし、単なる政治哲学の不在、あるいは経済以外の規範力を持ち合わせない国家である、と受け取られかねない、否、受け取られた、ということに日本人はどれほど気がついているのだろうか、ということである。

 日本の振り子は極端に振れる、ということを前提にして、あるいはそう思われているという危惧を前提にして、日本が自らの行動様式を自制的に設計しているのだとすれば、それがアジアのためになっているのかどうか、考える時機にあるのではないかと言いたい訳だ。よって、何をすれば良いか。汝の隣人を知れ、といのが解題である。今度は解りにくい、と言われないと良いな。

2009年 03月 25日



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