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2015年2月27日

akira's view 入山映ブログ 格言

 およそ格言なるものには、簡潔で要を得たものが多いのだが、同時に相互相反するのも珍しくない。「善は急げ」と「急がば回れ」、あるいは「鳶が鷹を産む」「蛙の子は蛙」なんていうのはその一例だ。北朝鮮の将軍様に対して「話せば解る」と楽観的に構える人はそんなに多くはないだろうが、さりとて「問答無用」といってみたところで、それならどうする、という知恵らしいものが出てこないのもこれまた事実であってみれば、「泣く子と地頭には勝てない」と諦めるか、「百万人といえどもわれ往かん」と頑張るか。そんな軽口をたたいてばかりもいられない形勢である。

 北朝鮮がなぜあんな愚行ともいうべき行動を積み重ねるのか。おそらくはご当人(たち)は愚行と思っていないからだろう。それは何故か。これまでの朝鮮問題専門家といわれる人々の分析を総合してみると、一連の行動の基礎にはいくつかのポイントがあるようだ。
 一つは現体制への忠誠心の引き締めだという。国威発揚が体制の安定度を高める、というのは時代の如何、洋の東西を問わない。米国と対等に渡り合える(あるいは手玉に取る)将軍様というのはその最たるものだろう。まして、いかに情報管制を徹底させても漏れ伝わる韓国の経済状態との対比で、国民に重要国策への資源重点投入をPRするには格好の材料だ。
 二つには、見るべき輸出物資を持たない北朝鮮にとって、核技術の(ブラックマーケットを中心とした)販売というのは馬鹿にならない収入源だ、という。公表資料がないため推計値に過ぎないが、GDPが2百億ドル前後、輸出額が10億ドル前後という経済にあっては、荒唐無稽という話でもなさそうだ。GDPの40%を軍事費に充てているといわれるこの国で、少しモトを取ろうと考えるのはありそうな話でさえある。
 さらに、軍事優先の先軍政治は政策意思決定に対する軍部の圧倒的影響(支配)力をもたらし、甚だしきは将軍様は傀儡も同然で、実質的意思決定は軍中枢によってなされている、という人さえいる。軍部が政治を牛耳れば何が起こるかは詳説の要はあるまい。

 分析はともかく、一体どう対応すれば良いのか、という段になると、提示されている選択肢は極めて少ない上に即効性は期待できそうにない。窮乏化が極に達した民衆の蜂起(というのが穏やかでなければ不服従、あるいは経済的枠組みの崩壊)を期待する、というのはおそらく正論ではあろうが(可能性が皆無でないにしても)いまのところそれを伺わせる動きはない。ビッグブラザーである米中両国が巧みな交渉によって路線変更を引き出す、というのも、日本が蚊帳の外におかれる、という点を除いても期待薄だ。オバマ大統領のプラハ演説がわづかにそれを期待させるが、この種の問題に関する米国の外交手腕は失礼だが過去稚拙を極めた。中国にとっては、不穏な動きをする北朝鮮はバーゲンチップとしてはむしろ国益にかなうものであり、にわかにそれを沈静化させる必然性があるとは考えにくい。六者協議に、五カ国間の思惑に相違があるのと本質的には相違がないといってよいかもしれない。

 八方ふさがりのときは原点に戻る他はない。武力侵攻による政権転覆というのが選択肢に入らない以上、日本は国是とする平和主義、平等互恵、核廃絶をふまえての交渉・話し合いに工夫を凝らす、ということしかあるまい。それがいかに迂遠で腹立たしい思いをすることがあっても、である。ひどく月並みに聞こえるかもしれないが、王道に如くはない。実に「急がば回れ」である。ここは「善は急げ」とはゆかない。それとも両立させる秘策があるのかな。

2009年 04月 15日



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