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2015年3月30日

akira's view 入山映ブログ ナタニエフ

 混戦を制して右派連合の首相の座を獲得したナタニエフとオバマ大統領の微妙な関係については先に(2.15「イスラエル」)触れたが、両者の会談の結果はマスコミの報じる通りだ。ナタニエフは「一つのイスラエル、一つのパレスチナ」を頑として拒否。ハマスのテロ放棄宣言なき限りパレスチナ国家の承認はあり得ないという従来の路線を固守。新規入植地の建設停止さえ言を左右にして承諾しなかったというから、まずは筋金入りのタカを地でいった、という見方もあるだろう。

 ナタニエフがどこぞやの将軍様並みの頑迷固陋な(?)指導者であるかどうかについては、筆者はいささかの意見を持っているが、本稿で言及したかったのは、その点ではなくて、余り賑々しく報道されなかったものの、両者会談の根底にあるいま一つのアジェンダ、イランの核開発についてである。イスラエルが近隣に核保有国が発生することに極めて神経質で、遠距離ミサイル攻撃さえ辞さないのは周知の事実だ。今回会談の結果、オバマ大統領は「外交」によってイランに核開発を断念させる、という何らかの意思表示をナタニエフに対して示したと考えても不思議のない状況証拠が揃っている。核拡散防止について、ロシアの同意を取り付け、インドは取り込み、北朝鮮についてはそのカードの行使を中国(日本ではないことを喜んでよいのかどうか)を通じて制限することに成功しているかに見える米国が、現時点で唯一気がかりなのはイラン、即ち中東情勢の筈だ。スンニとシーアの亀裂から、にわかにイランが核兵器をパレスチナに供給する、といった荒唐無稽のシナリオは成立しないものの、米国にとって悪夢の拡散シナリオの一つであることに変わりはない。その意味ではナタニエフとオバマはまさに呉越同舟な訳で、あのしたたかなナタニエフがこの好機を逸する筈がない、と筆者は考える。

 いかにイスラエルびいきであっても、問答無用でエルサレムに構築されているあの醜悪な「壁」を見れば絶句せざるを得まい。右手であの蛮行を推進しながら、左手で自国の安全保障にとっての手形を取り付ける、というのがユダヤ民族一流の外交手腕で、これは将軍様にもかの民族の血が混じっているのではないか、と思わせるくらいのものがある。狂信的な極右は別にして、一つのイスラエル、一つのパレスチナ以外の解決策がないことは関係者ならだれでも熟知しているといってよいだろう。知っての上でか否か、瀬戸際めいた外交が続く。国連中心、平和至上の日本外交には全く欠如した側面であり、理解さえ出来ない人も多いのではないか。それが幸せなことなのかどうか。歴史の判断に待つ他はあるまい。

2009年 05月 21日



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