2015年4月7日
akira's view 入山映ブログ 薬事法
改正薬事法が6月1日から施行される。この法律改正は、報道などから知る限り、薬を副作用などいくつかの危険性に応じて三段階にわけ、比較的安全度の高い二つの種類のものについては、これまで薬剤師をおいた薬局で「対面販売」を前提としてしか認められなかったものが、薬剤師に代わる資格である「登録販売者」をおけばコンビニなどでもOKだというもので、これだけの情報からは、あたかも規制緩和が進んだ、と受け取られないでもない。事実、大手のコンビニやスーパーはビジネスチャンスと捉えているのだから、その側面がない訳でもないようだ。(ちなみにこの「登録販売者」の資格認定をどんな外郭団体がおやりになるのか、そこにどれくらいの天下りがお入りになるのか。ぜひ情報開示をしていただきたいものだが。ま、それは別論である。)
ところが、この過程が果然様々な論議を巻き起こしている。大別して問題点は二つあるようだ。第一には「対面販売」を求めることとなったために、これまで電話や通信販売によて購入できていた伝統的医薬品や、インターネットを介した販売に依存してきた一般薬のうちいくつかのものが販売できなくなること。このIT時代に、物理的な「対面」、もっといえば販売拠点に足を運ぶことを求める、あるいはその方が安全性が高い、または保証される、という考え方がいかにも時代錯誤ではないか、というもの。この点は今回の法改正の過程でも問題が提起され、舛添大臣が性急な一方的判断を避け、有識者からの意見聴取を求めたことからも、問題の所在は大いに意識され、認識されていたといってよい。それがなぜいまだに問題としてしこったまま実施に踏み切ることになったのか。これが第二の問題、すなわちお役所の官僚的な、あまりに官僚的な仕事の進め方(同義語反復だというなかれ。)に起因する無用の問題を生んだ。こういうことだ。
舛添大臣が有識者による委員会に検討を求めたのは上記の通りだ。薬害被害者、対面販売支持者、反対の人、各種業界代表者などなど、様々な立場の人々が一堂に会した。だから意見が統一されない。あるいは満場一致の案が成立しない。だから7回開催された検討会議の結果、結論には達しない旨の結果とは相成った。ここまでは予想されたことではあった。ところがこの結論を待っていたかのように、間髪を入れずともいうべきタイミングでお役所は微に入り細にうがった省令を公表。これには検討会の委員もさすがに唖然と言うか、激怒というか。要するに群百のナントカ諮問会議とか、検討委員会と同じで、結論はとっくにお役所が用意している。形だけの有識者諮問(cosmetic work)で、決めるのは自分たちだ、という例の話である。
官僚主義批判、独善的体質非難、思い上がりへの苦言、そんな声が日々高まる中、例によって例のごときお役所仕事が、時代の風潮やら世論動向などどこ吹く風で再度厚顔無恥の登場である。省令無効を東京地裁に提訴したと聞く。さて、厚労省の官僚に自浄機能は働くだろうか。まさか、ね。
2009年 06月 01日