2015年4月10日
akira's view 入山映ブログ 農林中金
大赤字の農林中金が、農水省の事務次官の天下りを受け入れるために新設のポストを用意するという。さすがに本体の役員に迎えるのには世論の反発が気になってのことらしい。本体でなければいいだろう、という感覚もさることながら、高級官僚による外郭団体(「官庁や政党などの外部にあって、これと連携を保ちその活動や事業を助ける団体」・広辞苑)の私物視はもはや末期的症状を呈しているといってよいだろう。三顧の礼をもって迎えた日本郵政の社長人事を巡って、鳩山総務相が猛然たる反発を示したくらいなら、あの豪腕を持って鳴る石破大臣がさてこそ一言ありそうなものだが、さてどうなるか。
天下りについてはこれまでにも何度か書いたし、余りに程度の低い話だから改めて破邪顕正の剣を気取るつもりはないが、一言だけ書いておきたい。「ほとぼりが冷めるのを待つ」という表現がある。まあ、しばらくは頭を低くして暴風が通り過ぎるのを待つ、と言っても良い。財政再建、天下りバッシングがこれほど声高に叫ばれているのなら、人の噂も何とやら、せめてしばらくは身を慎むくらいの分別がなぜ持てないのか。それほど世論とか、民意というものは軽く見て良いと高級官僚はお考えなのであろうか。汚い言葉遣いで恐縮だが、まあ、国民もなめられたものだという感が深い。それを政治家が見逃すとすれば、これはまるで救いがない。
今回の補正予算で、何十という外郭団体が、従って天下りポストが新たに誕生した。公益法人制度改正では、公益法人とは外郭団体のことなり、といわんばかりの規定が目立つ。与えられた予算をただただ「遣いきる」だけの組織。創意も工夫もなく、昨日の通り今日も、今日の通り明日も、という組織が、この空前の失業時代に増え続けているのを、何とかしようと挙げる声は、なぜいつも消化不良のままうやむやになってしまうのだろう。答えは簡単で、納税者以外にそれによって不利益を被る人がいないからだ。それと同時に、その仕事のやり方、無駄なオカネの遣われ方に代案を示して選択を迫る民間の組織が(構想日本のようなごく一部のもの以外には)存在しないからだ。
民主党に望みたい。政権与党と異なり、官僚組織という巨大シンクタンクの力を借りることがままならないから、積極的・意欲的な政策提言能力は劣位にたたされざるを得ないのであれば、せめて徹底的に外郭団体の実情とそのどうしようもない仕事ぶりを明るみに出してほしい。10兆円程度のオカネはたちどころに生まれてくることは請け合っても良い。この際、露悪趣味だの、泥仕合だのと言ってはいられない。何もすることがなくて、毎日文房具の棚卸しを残業して行っている団体や、退職官僚に事務所とクルマをつけるだけのために存在している理事長ポスト、介在する業者以外は誰も喜ばない助成金をただ配り続ける組織。そんなものを白日の下にさらすことができれば、何十議席かを都市部で獲得すること疑いなしだ。(これを脅威ととらえる自民党の心ある人々が同調してくれたら、それもまたすてきな話だが。)
格調の低い話に聞こえもしようが、これさえも実現できないようならば、冗費節約の、プライマリーバランスがどうの、という格調の高い話はそれこそ絵に描いた餅にすぎない。
2009年 06月 08日