2015年4月13日
akira's view 入山映ブログ アニメにNO
このブログでは再三にわたって、バラマキや安易な増税議論の先に、徹底した冗費節減を行うべきだと主張している。誰が考えても理の当然かと思われるこの論調は、民主党によっても主張されているのだが、なぜか正面から議論されることはなく、無駄遣いのカットなんていうのはたかがしれている、モノが違うよ、とか、木を見て森を見ない議論だとか、財政の玄人からも冷たい取り扱いしか受けていないのはご承知の通りだ。今日の身の痛みは棚上げにして、一年後のバラ色の夢を語るのは政治の常道かもしれないが、この優先順序によって喪われるものは何もないように思う。労多くして功少ないどころか、為政者の(あえて官僚とは言わない)ホンキ度のバロメーターとして、国民の支持は圧倒的になるのではないか、とさえ思う。
要は、精神条項、かけ声だおれにするのではなく、具体的にどのムダをどう省くか、それによっていくらの冗費が節約できるか。その全体像を具体的に示すことだろう。思いつきであちらをつつき、報道された不祥事の後を追っかけ、というのも悪くはない。しかし、ターゲットを絞って狙いうつというのも決して悪い考えではない。これほど単位投資に対する効用や効果についての解析手法が発達している現在、複数のターゲットを平行して的にするのは決して非現実的な話ではない。やる気の問題だし、既得権益に拘泥しない政治的意思の問題だろう。
さすがに誰も何もしていない訳ではなく、昨年6月自民党は「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム」(PT)を発足させた。「公共事業」「社会保障」「エネルギー・農業」「文教・科学技術等」の4分野の検討チームを設置し、(1)公益法人(2)随意契約(3)特別会計の支出(4)独立行政法人向け支出(5)既存政策—の5項目について検討することを確認した。このPTの座長は園田博之氏にお鉢が回ったのだが、問題はそれぞれの分科会の主査を誰にするか、というあたりで、ラディカルな改革派と目される河野太郎氏には一番ケガが少ない「文部・科学技術」を割り振るという当初から腰砕けのような経緯があったことも報道されている。
それかあらぬか、このPTが12月に出した報告書は国家公務員レクリエーション経費やタクシー代といったささやかな話から、千億円オーダーの独立行政法人、公益法人への支出見直し、特別会計の見直しから、全省庁の政策棚卸しといった大胆な内容のものになった。(とはいえ、公益法人、より正確に言えば官庁の外郭団体そのものの存廃にまで議論が及んでいないなどの「甘さ」も見られはするが、まずは不問に付そう)。これについて果然各省庁と族議員が猛烈な「各論反対」キャンペーンを展開していることも報道されているから詳説はしない。
特筆すべきは河野太郎氏を筆頭に、山内康一氏など多くの一年生議員がこの問題に真剣に取り組んでいて、特に政策棚卸しについては民間シンクタンク「構想日本」の協力を得てかなり踏み込んだ議論がなされていることだ。今回のアニメのハコモノに対する明確なNOが、先の報告本文中に例示されていた「私の仕事館」がその後うやむやになっているのと好対照なのはその典型的な一例だ。頑強な抵抗勢力を向こうにまわしての彼らの努力には敬意を表するとともに、われわれもできる限りの支持.支援の意思表示をすべきだと思う。解散の時期が何月だなどと浮かれた報道を繰り返しているより前に、こうしたまじめな政策議論の火を消してはならない。
2009年 06月 09日